元記事はこちら
https://diamond.jp/articles/-/308025
Yahoo!ニュースの記事はこちら
https://news.yahoo.co.jp/articles/23cd38c52f23c6585ddc600cde8953c9343f6b2a
昨今、進学実績の躍進が注目されている関西の私立学校である西大和学園。
基本的に私は関西の私立学校の内情には全くといっていいほど詳しくありません。
数年前、個人で大阪に旅行に行った時に北野高校、天王寺高校、四天王寺高校、大阪教育大学附属天王寺中学校あたりの佇まいを敷地外から確認しにいったことがある程度です(もう5年以上前になりますが‥)。
今回は奈良県(といっても大阪寄りにある)に位置する西大和学園についての記事になります。
記事を書いているのは森上教育研究所の森上展安(もりがみ・のぶやす) 氏。
週刊誌系のネット記事や口コミサイトなどは信憑性に欠ける場合も少なからずありますので、情報源にする際には自分の中に一定のフィルターをかけながら読んだほうがいいと思っています。
正直な話、記事内に登場する学校で勤務している知人がいて内情を知っていると、メディア媒体を通じてイメージの払拭をしようとしているのではないかと思ってしまう場合もありますし、全く実態が伴っていないという場合もありますし、理想論を語っているだけではないか、という記事も過去にあるにはありました。
ただ、過去のネガティブなイメージを払拭しきれていなくて損をしているのではないかとか、変化の過程にあるのではないかと思うような場合もあります。
今回ご紹介する記事と学校は、もしかしたら後者のような感じなのではないかと少し感じています。
このように感じた理由は、過去に出会った2人の元・西大和学園勤務の先生方を見たからです。1人は同僚として数年間を共にしましたが、おそらくこちらは以前までの雰囲気の中で働いていたのではないかと自分は感じました。他方、もう1人は最近の雰囲気を知っていそうな印象を受けました。両方の話を比較すると共通点もあるのですが、違うところも多々あったと私は思っています。
もちろん、実際のところはわかりませんし、私が責任をもてるわけでもないのですが。
それでは記事の概略と、ヤフーニュースのコメント欄の中から上位3件を拾って少し補足説明をしていきたいと思います。
記事の概略
まずはどうしても、最上位の旧帝大である東大・京大の合格者数の話題に。
その合格実績の変遷や、京大だけでなく東大に目を向けるための方策、モチベーション管理などが話題になっています。
次のページでは、出口(合格実績)をよくするための入り口(中学入試)の話題に。
女子は第一志望にしてくれる受験生が多いという話も出てきていますね。
また、出口の大学合格実績に占める女子生徒の割合を示すグラフなどもホームページで公開されています。
最後のページでは今後の展望として、東大を滑り止めにしつつ海外のトップ大学へのチャレンジ、という話で締めくくられています。
以下は個人的な感想ですが、特に最後の海外大学を視野に入れる流れは、昨今の多くの私学で散見されると感じていまが、ただなんとなく海外も視野に入れていますよという層の学校と、西大和学園レベルではまた違うようにも思います。このあたりは、今後どのように海外大学進学(卒業?)の実績を作っていくのか注目していきたいと思います。
コメント欄からの抜粋と補足
ベタに引用させていただきます。
もちろん、ネットへの書き込みなので、本当なのか嘘なのかはわかりません。最悪の場合ステマかもしれませんが、とりあえず引用します。
子どもが2021年に西大和を卒業しました。こういう記事だと東大のことを聞かれるし、学校の宣伝になるのも確かなので、東大の話ばかりになりますが「東大を受けろ」という指導は一切されませんでした。好きなところを受ければいいという感じです。全くスパルタでもなく、特に高校生になってからは課題も少なかったです。夏休みの英語の宿題は、自分の弱点に応じた問題集を自分で選んでやりなさいというもの。自分のレベルに合わない宿題を強制的にさせられることはありません。先生方は本当によく生徒を観察しています。面倒見が良いといわれますが、生徒がリクエストしたら全力で応えてくれる面倒見の良さで、特に問題がない生徒に関してはリクエストがなければ放任してくれます。 未だに受験少年院なんて揶揄されることもありますが、行事も多く、子どもはとても楽しい6年間を過ごし、無理な詰め込みもなく東大に合格できたので、感謝しています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/23cd38c52f23c6585ddc600cde8953c9343f6b2a/comments
こちらのコメントには高評価が27件、低評価が25件ついています。
実際に(自分の子どもを通して)学校を見ているので、ある意味では信頼性は高いのかもしれません。
東大に合格者数を出す生徒が多い学校は、どちらかというと放任系の学校が多いのではないかという話は昔からあるように思います。ここでは、リクエストがあればそれに応える、なければ放任してくれるということが書かれています。
課題の多い少ない、詰め込みかどうかという議論もよく見ます。東大レベルを目指す一定以上の層は、やはり自分の力で開拓していく力がなければ合格できない、やはりスパルタではなく放任だということなのでしょうか。
こちらのコメントは、西大和学園は全くスパルタではないというスタンスのようです。
それでは残り2つのコメントを引用します。
管理型やスパルタ式の学校が躍進することに否定的な意見があります。分からないでもないですが他方、超進学校とされる学校は自由なのか?と言えば、確かに校風は自由ですが、小学生の時から管理されて中学受験塾に通い、放課後にはこぞって塾に通い、裕福で家庭教師付が珍しくない環境です。超進学校は自由なんだ、と考えるのはどうかなと思いますね。
https://news.yahoo.co.jp/articles/23cd38c52f23c6585ddc600cde8953c9343f6b2a/comments
こちらのコメントには高評価が71件、低評価が82件ついています。
そろそろ他の超進学校同様に様々な部分で自由化していくべきだと思うよ。あんまり無理な事をしていると、とんでもない事件をおかす生徒がでてきたりするもんだ。そもそも本当のトップクラスの生徒は手を放していかないと伸びなくなる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/23cd38c52f23c6585ddc600cde8953c9343f6b2a/comments
こちらのコメントには高評価が9件、低評価が10件ついています。
少し露骨かもしれませんが、高評価と低評価の件数を併記させていただきました。
最初に表示される上位3件を引用したのですが、なんと最初のものしか高評価数が低評価数を上回っていないのです。しかも僅差でです。
残り2つのコメントは、高評価よりも低評価のほうが上回っています。2つ目のコメントなんかは高評価が70件(最初のコメントの3倍近く)ついているにも関わらずです。
さて、ここで2つのコメントの趣旨を整理すると、2つ目のコメントは本当に「超進学校=自由」なのかという疑問を呈しています。3つ目のコメントは、トップ層を伸ばすためには最終的に手を放さないと(≒放任しないと?)伸びなくなるという内容。
ということで、実績の話を軸にスパルタか放任かという議論が巻き起こっているように感じます。
個人の想像とその根拠
大学合格実績の躍進が目覚ましい西大和学園ですが、変化の途中にあるのかもしれません。
かつてはやはりスパルタだったのかもしれません。
それは最初のコメントで「未だに受験少年院なんて揶揄されることもありますが」という表現があることからも想像できますし、残り2つのコメントもスパルタor放任の話を軸に置いています。
ただし、3件のコメント全て、高評価も低評価もほぼ同数なんですよね。
私は高評価と低評価の数が明確になっているヤフーニュースのコメント欄を参照する時、高評価の絶対数だったり、高評価と低評価の割合に注目しながら見ているのですが、(絶対数が少ないとはいえ)こんなに拮抗しているのはかなり珍しいと思います。
もしかしたら、最初のコメントの内容が本当に最近の状態を説明してくれていて、スパルタっぽさが抜けてきている、学校側が変わってきているのかもしれません。
このあたりはダイヤモンド・オンラインの来週の記事で少し詳しく説明があるかもしれません。
(記事が次回はなぜ、急速に躍進したのか、その背景についておうかがいしましょう。で終わっていますので。)
そして、私自身が西大和学園の変遷が起こっているのではないかと感じた理由を最後に示しておくと、同僚として一緒に働いていなかったほうの、最近の雰囲気を知っていそうな元・西大和学園勤務だった先生が「そもそも本当のトップクラスの生徒は手を放していかないと伸びなくなる。」とおっしゃっていたからなんですよね。ちょうど3つ目のコメントに書いてありますが。
これまでの内容を単純に1本の先の上に乗せてしまうと以下のようになるような気がします。
今まではスパルタでやっていた
↓
トップ層は手を放さないと伸びない
↓
脱・スパルタをした
↓
合格実績が伸びた
仮に本当にこうだったとしても、言うのは簡単ですが実現するのは難しいと思います(そもそも本当にこんなことが起こったのかどうかも内部の人間ではないのでわからないわけですが)。
本当に自分の力で自分を甘やかさずに努力し続ける生徒を育てるのは難しいです。スパルタ的な教育(管理型?)をしたほうがそういう意味では楽だと思います。
ダイヤモンド・オンラインの元記事内に、「開校当初は関関同立100人合格を掲げていた」とありますが、これならばスパルタ式で十分だと思います。関東圏であればGMARCH合格100人を掲げるというようなものに通じると思います。
そして、GMARCH合格であれば、ある程度は「作り込む」ことで達成できると思います。
上記の大宮開成中高の生徒は、私自身が塾講師として働いていた時に担当したことがあります。もちろん、その生徒を通してではありますが、大宮開成中高はかなりガツガツと作り込んでいくタイプの学校だと思っています。複数の生徒を担当していましたが、課題の量や小テスト等も含めてどちらかというとスパルタ式側だと感じます。
(少し話は西大和学園から逸れましたが、関関同立100人合格とスパルタ式はつながる側面もあることの補足まで。)
おわりに
西大和学園についての記事がGoogleのサジェストで出てきたこと、内容に興味を惹かれたこと、コメント欄の挙動に違和感をおぼえたことなどから記事作成に至りました。
真相は実際に勤務してみないとわかりませんが、想像する1つのきっかけにはなったでしょうか。
また、今回の内容は必ずしも勤務しやすい学校かどうかのヒントにもならないとも思っています。
ホワイト私学を見抜くというのは実は結構難しいと感じます。
(西大和学園がホワイト私学ではないと言っているわけではありません)