3学期の求人情報は、ほとんど非常勤講師の募集が多いです。
もちろん、ここ数年はそれまでと比べると常勤や専任待遇の求人も増えてきました。
待遇や身分にこだわりがあるならば積極的に狙っていきましょう。
ですが、人材が足りていないかったりする場合も少なくないように感じるので、内定を焦りすぎるあまりブラック校で働くことになってしまうと本末転倒です。
今回は、私学の非常勤講師で働く場合について考えていきます。
生活費を十分に稼げるだけの担当授業数は確保できているか
まずは何はともあれコレです。
生きていくためにはお金が必要です。
生活費を稼げるメドはついていますでしょうか。
思うような数の授業を担当させてもらえない場合には、夜に塾講師を掛け持ちすることも必要かもしれません。
基本的に、1時間授業したときの単価は3000円程度の学校が多いでしょう。
ただし、学校によっては実際に授業をした時間に対してしか給与を支払わない、という学校もありますので給与の計算にはご注意下さい。
常勤講師や専任教諭への登用の可能性はあるか
非常勤講師で勤務していて、居心地がいいとか働きやすいと感じることもあります。
そんな場合にこの学校で専任教諭として働きたいと思うこともあるでしょう。
求人票にはっきりと専任教諭への登用の可能性ありと書いてくれている求人票もあります。
また、書いていなくても、状況によっては専任教諭にならないかと個別に声がかかることもあります。
学校側としても、非常勤講師で授業の仕方や人柄をわかっていたほうが安心できるという側面はあります。
これは公募で募集をかけるにしてもそうです。
非常勤講師として既に勤務している人を内定させるような出来レースの採用もあるのではないかと感じたこともあります。
この際に気にしたいのが常勤講師(専任登用前提の試用期間のような待遇)や専任教諭への登用の可能性が残されているかどうか。
基本的には、一度働いてみて、その教科や科目の年齢構成を見てみないとわからないと思います。
来年、再来年あたりに定年退職しそうな先生がいるとすると、もしかしたら専任教諭として働かないかというお声がけがあるかもしれません。
逆に、自分の担当科目の先生が若手から中堅ばかりだと、専任教諭として採用される可能性は低くなってしまうのではないでしょうか。
そういう場合は、思い切って他校を探すという判断が必要になってくるかもしれません。
自分の履歴書を見返した時にプラスになるか
意外に重要な観点だと私は思っています。
いつか常勤講師や専任教諭になれるだろう、転職活動を続けていればどこかに採用されるだろうと思う方もいるかもしれません。
しかし、書類を送付するときにまず担当者が見るのは経歴です。
これは別記事でも書いています。
多いのは週3~4日の軸となる勤務校と、週1~3の勤務校を組み合わせる場合ではないでしょうか。
このときに考えたいのが後者の勤務校を自分の経歴にとってプラスになるような学校を選ぶことだと思っています。
軸になる学校が男子校や女子校であれば、共学校を組み合わせておいたほうが転職活動の幅広さは維持することができるでしょう。
逆に、例えば軸になる学校が女子校で、もう1つ組み合わせる学校も女子校であれば、女子校での勤務経験に厚みは出てきますが、汎用性が失われてしまいかねません。
個人的には、若い人にはオススメはしたくないかな、と思います。
もちろん、自分の中で絶対に女子校で働きたい!と決まっていたり、明らかに有名校で経歴に箔がつくような場合は別だと思いますけれども。
基本的にはよりレベルの高い私学を組み合わせておくほうが、無難かなと思います。
まだまだ大学合格実績をウリにしている私学が多いと思うので、学習指導について大は小を兼ねる(わけではないのは承知ですが)側面はまだまだ大きいと思います。
私学共済に加入できるか
首都圏エリアでは、近隣県ではあまり聞かないと思います。
しかし、東京都内の一部の私学では、勤務している条件次第では私学共済に加入することができる学校が一定数存在します。
具体的には、週4日(週5日)以上勤務していることが条件だったり、担当授業数が一定数以上(学校ごとの規定によって異なる)ことが条件だったりします。
または両方の条件を満たしていること、というような場合もあります。
残念ながら、近隣3県(埼玉・千葉・神奈川)で非常勤講師に私学共済への加入を認めている学校はほとんどないと思います。
ただし、加入を認めていただければ助かることに違いありません。
通勤のしやすさや移動のしやすさはあるか
首都圏エリアは交通の便も発達していますし、東京都の私学で働く場合には通勤方法を確認しておくほうがいいでしょう。
また、学校の立地を考えた時に、勤務の幅が広がる可能性もあります。
どういうことかというと、学校を掛け持ちする際に、慣れてくると1日で2つの学校で勤務するような授業の持ち方を提案できる場合があるということです。
数字でいうならば週5日の勤務を3.5日と1.5日に分けるような考え方です。
ある学校では午前から午後まで授業を3日はする。
もう1日は午後からの授業(5&6時間目)にしてもらう。
掛け持ちする学校で1日は午前から午後まで授業はするが、もう1日は午前中の授業(1~3時間目)の担当にしてもらう。
そうすると、学校側が事前に求人票で提示していた「週4日の勤務」と「週2日の勤務」を5日で達成することが出来るわけです。
このためには、学校間の移動時間も考えなければいけません。
駅から近いのか、電車の本数は十分あるか、メインの交通機関にトラブルがあって回り道をしても対応できるか、ということです。
必ずしも近いほうが絶対にいい、ということではありませんが、自分の働きたい学校での勤務をより充実させるための1つの工夫としては大いにアリです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
私自身も経験したことがありますが、様々な事情があって非常勤講師でしか働けない場合もあると思います。
また、単純に若い先生が学校から(ある意味で)様子見されるために非常勤講師として働くこともあるでしょう。
その場合は、こちらもある意味では学校を様子見するとともに、したたかで戦略的に転職の計画を練っていくことが大切だと思います。