安田学園中学校・高等学校の特集記事から

労働環境

本日、学校関係の記事で目に留まったのはこちら。

「監督」と「教員」の葛藤…新しい指導へ/安田学園
<脱ブラック部活~高校野球の働き方改革(5)~安田学園の場合>

https://news.yahoo.co.jp/articles/632367fa03cc12cf5e9fe7a83b3ba6e25cbca2c1

日刊スポーツの2021年1月30日付の記事。

配信時刻は11:00となっている。

安田学園は、巨人の阿部慎之助の母校である。

個人的には野球は嫌いではないし、むしろ好きなほうでWBCやプレミア12などは応援した。

サムライジャパンの強化試合を観に行ったことも何度かある。

話が逸れたが、記事の内容というか、伝えたいことは働き方改革と部活指導の両立という観点のようだったらしい。

記事に出てきた安田学園の野球部の監督は会田勇気監督(28)とのこと。

どのあたりが働き方改革なのか、読み進めていった。

勤務形態についての記載(第2段落)

ということで、安田学園の基本的な働き方が記載されていたのでまずは引用する。

定時勤務は、休憩時間1時間を除く午前8時から午後5時までの8時間。残業は月42時間と決められ、野球部の練習時間のほとんどは残業扱い。練習、または練習試合、公式戦がある日曜祝日は休日出勤に数えられる。42時間を超えた残業時間と休日出勤の時間は振り替え休日として取らなければならない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/632367fa03cc12cf5e9fe7a83b3ba6e25cbca2c1

内容だけ見ると、言っていることはかなりまともなのかとも思える。

定時勤務は1日8時間で休憩は1時間とある。

もっとも、学校現場が果たして休憩時間をどの程度確保できているのか、と言われてしまうと一般的には取れていないほうが多いだろう。

これは小学校の「給食指導で昼休憩が取れない問題」に始まり、どの校種でもどんな経営形態でも似たりよったりだと思う。

唯一、担任と副担任を各学級に置いていて、うまくバランスを取りながら回している学校であれば、交代交代で昼食指導をするということも可能かもしれないが、そもそもそれだけ潤沢に人材を配置できている学校は少数だ(自分もそういう学校で勤務していたことはあるが)。

それに、この方法も、交代交代なので、よくて休憩を取れるのは50%にとどまるだろう。

ただ、この記事では働き方改革を謳っているので実際はどうなっているのだろうか。

個人的にはよくも悪くもいろんなことが考えられてしまうと思っている。

邪推してしまうと、休憩時間の取得という観点でいけば、空き時間とお昼休みを充当すれば実際は仕事をしていても休暇を取得しているとみなせてしまうよな、と感じていた。

そう思いながら読み進めていくと、以下の記述が。

月曜日は「研究日」として休み、超過分の残業時間は、平日の授業の空いている時間や土曜日の午前中などに振り分けて消化している。

https://news.yahoo.co.jp/articles/632367fa03cc12cf5e9fe7a83b3ba6e25cbca2c1

ということで、嫌な予感が的中してしまった。

平日の授業の空いている時間を働いていないことにしているということだ。

実際は、生徒対応をしたり、学年の打ち合わせをしたり、授業の準備をしたり、いろいろあるはず。

事実上の休日出勤状態になっているものと想像できてしまう文面だ。

また、記事を読み進めていくと、社会の授業を週に17時間担当しているとのこと。

ただし、担任をしていない。

校内の規定にどのように設定されているのかはわからないのでなんとも言えないが、標準時数は少ない学校で14、多くの学校で15~16程度になっていると思っている。

そこに、学校ごとに、主任は-1時間とか、担任外は+1時間とか、規定があったりする場合がある。

クラス担任がなくて週に17時間という観点は、通常なら有り得そうだ。

しかし、野球部を指導する、残業と働き方改革の兼ね合い、休日の取得義務などを考えると、かなりアンバランスさを感じてしまう。

閑話休題

関連記事を探していた際に、ちょっと気になってしまうページを見つけてしまった。

1つ目は安田学園野球部OB会公式サイトなるもの。

2019年12月の大忘年会の記事の時点で、会田コーチという文字がある。

ちなみに、森泉監督、ともあるので、もしかすると会田監督は今年度から監督をすることになったのかもしれない。

あとは、東京六大学野球のページでも、2014年の明治大学の選手一覧に発見できた。

この年、商学部の4年生だったようで、1打席だけ打席に立っているようだ。

年齢的にも本人の可能性があるのではないだろうか。

もし、これが本人であれば、大学野球に4年間籍をおき、打席に立っているのはすごいことなのかもしれない。

ちなみに、出身校には明大中野八王子とある。

あとは、明治大学野球部のオフィシャルブログの2014年9月の記事。

選手としてではなく、学生コーチとしてチームに貢献するようになるまでのインタビュー記事が掲載されている。

ちなみに、このオフィシャルブログの7月の記事では、「野球部内でストイックな人・第2位」としても紹介されている。

なんとなく人柄も見えてきそうだ。

個人的に思うのは、いい人なんだろうな、ということだろうか。

もし、上記の経歴がご本人のものであれば、自分自身もプレーヤーでやってきた、やってもらってきたから貢献したいという思いもあるだろう。

そしてストイックというのも教員にありがちな性格だと思う。

実際の勤務の様子(第4段落)

上記の記事の第4段落は以下のようになっています。

月曜日の休みは1週間分の授業準備に充て、平日は選手と向き合う時間を増やした。野球ノートで交流を図り、練習内容を熟考。最近は進学指導にも力を入れ「勉強も学校のこともしっかりやった上で甲子園に出ることに価値がある」と、選手たちを高みに導く努力を惜しまない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/632367fa03cc12cf5e9fe7a83b3ba6e25cbca2c1

Yahooニュースのコメント欄もなかなかすごいことになっています。

基本的に、どれも見方によっては正しいコメントが並んでいると感じます。

月曜日の休みで1週間分の授業準備をしている、というのはただの持ち帰り残業に過ぎません。

勤務時間が収まるように、表面上操作しているだけ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/632367fa03cc12cf5e9fe7a83b3ba6e25cbca2c1/comments

ド正論です。

ということで、記事の方向性としては、働き方改革を模索している中の連載記事の1つという位置づけなのだろう。

しかし、脱ブラック部活というタイトルの連載記事で、やはり内容にアンバランスさを感じてしまう。

記事の最後は以下のようになっている。

中には、働き方改革への取り組み校が0の県もあった。「野球が好きで練習は苦ではない」という指導者もいれば「甲子園を目指してうちを選んできてくれるのだから、指導者もその思いに答えたいから休みはとらない」という強豪校もあった。その一方で、地方の学校には現場の指導は監督1人という、休めない現状もある。「働き方改革」とは名ばかりで、制度と現場の矛盾を感じた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/632367fa03cc12cf5e9fe7a83b3ba6e25cbca2c1

いい悪いの問題もある。

あえて改革をしない学校もある。

改革をしたくてもできない学校もある。

しかし制度と現場の矛盾がある、という締めくくりだ。

(逆に成功例が見当たらない)

そう考えると、この安田学園の監督は、新しい指導を模索しているという将来に向けたポジティブな一文とも読み取れなくもない(実際は、どうなんだろうか…)。

別記事の紹介

こんな記事もある。

「先生を辞めさせないで」生徒9割が署名、雇い止めされた教員らが撤回求め学校を提訴

https://www.bengo4.com/c_5/n_9676/

私学の雇い止めの記事である。

京華商業高等学校とともに、安田学園の名前も挙がってしまっている。

これらの学校に限った話ではないが、私学ユニオンが絡んでしまった学校にはあまりいいイメージはない。

様々なところで、その真偽はさておき、ありえなくもないだろうな、という話は聞く。

経営状態、勤務の実態、そのほかのところが気になってしまう。

学校の口コミ

私がよく使っている口コミサイトを見ると、あまり荒れてはいない様子。

賛否両論どっちもある、という印象です。

どこまで削除されているのかはわかりませんが、保護者の口コミではネガティブなものがほとんどない。

在校生の口コミでは賛否両論ですが、ネガティブなことを書いている内容はありえそうだな、と思うこともあれば生徒目線の不平不満なだけのものもある。

偏差値帯も広いので、コースによっては悪くない、というところでしょうか。

複数のコースを設定している学校で働いていたこともあるので、ちょっと想像に難くない部分もあります。

おわりに

本日見かけた記事から学校研究をしてみよう、ということで書いた記事でした。

基本的には、私自身が良い悪いの判定を下すことはしない方向で記事を書いていきたいと思っています。

記事の一部分だけを切り取って「できていないからダメ」という方もいれば、「むしろ自分の指導法で貢献する」という方もいらっしゃるでしょう。

学校にとっても、教員にとっても、生徒にとっても、できるかぎりいい環境になることを望んでいます。

こういう記事をもとに紹介すると、どうしても、報道記事の特性上、ある程度ストーリーが決まっている感は否めません。

その上で、自分で判断し、自分との相性を考えることが重要なのではないでしょうか。

口コミサイトの内容を見ていると、可能性は感じられるので、自分の立ち位置と働き方と能力その他を把握できている方であれば、気持ちよく働ける可能性もあると思っています。

私自身、いろいろな学校を見ていますが、「もしこの学校で働くのならば、このレベルの授業で、学校内での立ち位置はこれくらいかな」などと想像しながら学校を調べています。

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