中学受験の功罪

受験生保護者

私学で勤務する者にとって、中学受験は大切なイベントです。

今後お預かりすることになるお子さんの、将来を左右するイベントなので、受け入れる側の我々も、ミスの無い様に細心の注意を払って入試を運営しています。

入試そのものは数時間で終わってしまいますが、そこに至るまでの時間は相当なものだったはずです。

もちろん、ご家庭の協力もあり、伸び伸びと実力を蓄えてきたお子さんもいらっしゃるでしょう。

苦しい思いをしながらも、コツコツ積み重ねてきたお子さんもいらっしゃるでしょう。

もちろん、途中で受験をリタイアした方もいらっしゃるかもしれません。

それぞれのご家庭で、そのタイミングのお子さんの状況にとってよりベターだと思える選択肢を選び続けていただければと思います。

とにかく、生活の基盤であるご家庭の雰囲気が、中学受験というイベントで悪くならないことを祈るばかりです。

この時期に特有な気になること

いろんな記事が出ることです。

中学受験について、単純に偏差値が上がったとか下がったとか、倍率がどうとか、難しくなったとか簡単になったとか、新傾向の問題が出題された、とか。

そして、成功した側の記事も、もちろんあくまで一例だというのは理解っているものの、いろんな観点から紹介される。

逆も然りで、うまくいかなった側の記事も、検証という観点だったり、子どもの取り組みという観点だったり、親の関わりという観点だったり、いろんな方向性の記事が出る。

情報戦は大切だけれども、本筋を見失ったり、振り回されるだけの記事も少なくないと思ってしまうのです。

合格したから終わりではありません。

もちろん、合格しなければそもそも話が始まらないという視点もわかります。

中学入試のオススメ記事の中で優良だと感じた記事

職業柄、いろんな記事を探して読みますが、やはり情報は収集されているのでしょう、ちょくちょくオススメ記事として関連記事も(Googleが)提案してきます。

提案されたオススメ記事は読むことが8割、読まないことが2割くらいなのですが、最近アタリだなと思う記事があったので、ちょっと紹介させていただこうかなと思いました。

当たり前のことが淡々と書かれています。

振り回されないように軸をしっかりもつことも伝えてくれています。

その上で、様々なデータも提示してくれています。

受験期間のご家庭での言葉のやりとりについて

ご家庭での関わり方もいろいろ共感できるものもあるのでいくつか紹介させていただきます。

「もっとやれば良かったのに」「自業自得」「お金と時間の無駄」「勉強させてごめん」など、こういう台詞は自慰と自傷のブレンドみたいなもので、(中略)

ボロボロの顔でも「最後までよく頑張った」って言ってくれた親を覚えていたいでしょう。合否に関係なく、頑張ったことは同じ。一番近くにいた親が、それを何より大事に伝えてあげると良いですね。

https://aswg-tutor.hatenablog.com/entry/2021/01/31/053803

子どもにかける言葉についてです。

多大な時間とお金がかかる中学受験。

親の側の関わり方一つで、子どもの人生が歪みかねません。

こういうところ、大切にしてほしいと思ってしまいます。

冒頭で、私が「生活の基盤であるご家庭の雰囲気が悪くならないといい」と言ったのはこういうことがあるからです。

あのときポロッと言ってしまった一言が原因で、崩れ去ってしまうものがあるかもしれません。

これは教員である我々も常日頃から意識していることです。

特に女の子の場合なんかは顕著で、その一言が原因で、卒業するまで口を利いてくれないという子すらいますからね。

学校であれば、子どもも大人もいろんな人が集まっていて、こっちが嫌ならあっちを頼る、ということが出来る環境にあるわけですが、ご家庭であれば、そこには家族しかいないので、少しずつでも時間をかけて解していかなければならなくなることもあるのかな、と思います。

受験後の勉強について

入学後の心構えなんかについても述べてくれています。

これについては、私も以前記事に書いています。

今回ご紹介しているブログでも、冷静かつ客観的に、その後のデータも示しながらいろいろ語ってくれています。

最上位層が通う学校と、中上位層が通う学校と、中堅校のその後の進路の分析について。

鶏口牛後という言葉もありますが、内容としてはそれに通じる感じです。

入学する(受験する)学校がその後どのような教育を提供してくれるのか、実績はどうなのかという話なのですが、これがわかりやすく伝わるようにするために、現在の状況と照らし合わせて述べてくれています。

塾に置き換えれば、1組だったら真ん中より前だったらどこでも入れるけど、2組なら上4分の1、3組でも上1〜2割を目指せば良いだけ。4組や5組でもトップを争える子なら、最高レベルまで届くケースも多い。

https://aswg-tutor.hatenablog.com/entry/2021/01/31/053803

自分も経験があります。

高校生の習熟度授業をやった時の話なのですが、Aクラス(上位クラス)とBクラス(中位クラス)でも、Bクラス(中位クラス)のトップのほうがAクラス(上位クラス)の真ん中よりもできる、という感じですね。

ここまでくると、あとはどうやって自分で勉強をしていきたいかに依存します。

Aクラス(上位クラス)で進度は早くても、様々な問題に触れ、いろんな解放に触れたいのか。

Bクラス(中位クラス)で自分の進度に合わせて、確実に1つ1つ定着させていきたいのか、などです。

こればかりは本人の性格的な部分も影響するので、一概にどちらがいいかは言えません。

一番危険なのは、Aクラス(上位クラス)にいるから大丈夫という変な安心感をもってしまう子ではないでしょうか。

同じようなことが、小学生の塾のクラスでも、中高生の習熟度クラスでも、大学進学実績でも言えるのだと思います。

高偏差値校に進学するのは、そういう先輩や同級生が多いことや、学習指導や課外活動の充実などのメリットを享受できることが大きいと思いますが、学力自体は個人戦で、日々の積み重ねや取り組む姿勢が大きく影響します。良いハコに入っても努力が足りなければその先は覚束ないし、どこの学校でもしっかり積み重ねれば伸びます。

https://aswg-tutor.hatenablog.com/entry/2021/01/31/053803

本当にいいことを言ってくれるブログだと思ってしまいます。

中学生・高校生くらいになると、それぞれが目指したいものもどんどん細分化され、それぞれ違ってくるわけです。

あの有名校に進学できたから大丈夫だろう、とか、あの有名な塾に通っているから大丈夫だろう、というような考えでは絶対に伸びません。

いい友達の影響を受けたいからより上の学校、という話もありますが、これもやはり本人の性格による側面もあると思います。

いい先生が揃っていても、質問に行くことをためらいがちでその環境を活用できなければ意味はありません。

友達に聞こうと思っても、自分と同じレベルなら聞きやすいけれど、みんなのレベルが高すぎて恥ずかしくて質問できない、なんてなると八方塞がりになりかねません。

結局、中学高校に入学してからも、フォローしてもらうように個別指導に別枠で通ったりすることにもなりかねません。

おまけに、私学のカリキュラムは独自のものが多いので、塾によっては対応できる人材がいなかったり、カリキュラムに沿った教材がないということは多いです。

メディアとの付き合い方

次の項目では、メディアやウェブ記事について触れられています。

一般向けのメディアやウェブ記事を気にするのは止めましょう。あれは1千万人に向けて喋ってること。全員が中学、大半は高校まで進む中で、勉強が嫌い、挫折した、強制された、そういう経験を持っている人は多いから、その話のネタを投げてるだけです。スポーツの野次とか芸能人の不倫みたいな消費娯楽の一部であって、ガチで闘ってる人に向けたものじゃない。

人目を惹くために、恐怖煽り&断定調&ラベリングを最大限活用。○○が危ない、本当の○○、真の○○、○○の人の三つの特徴、、、とかね。本当の〜真の〜とか言いだしたら「あぁ、一般向けのビュー稼ぎ(ガチ層は読む価値なし)の記事だな」くらいに思っていればいい。

https://aswg-tutor.hatenablog.com/entry/2021/01/31/053803

この記事を書いている方は本当に賢い方だなと思います。

情報が溢れかえっている現代では、自分自身でその情報の正確さや真偽を判断しなければいけないと感じます。

これは受験業界の記事に関してだけではなく、政治に対してでも何に対してでも、大きく騒いで興味関心を惹きつけていることが多いと最近ことさらに感じます。

メディア全体がかまちょ(かまってちょうだい)なのかもしれませんね。

もっとも、どれくらいページを見られたか、広告を見てもらえたか、使ってもらえたかが大切になっているわけですが、それで本来のコンテンツのレベルが低ければ本末転倒であり、一番大切な信頼を失いかねません。

(私自身も自分のこのブログで、ちゃんと優良なコンテンツをお届けしたいと改めて思わされます。)

この方のブログでは、いろんな学校に独自に取材にも行っているみたいです。

個人的にはちょっと羨ましいなとも思ってしまいます。

また、塾のデータや合格率なども分析して表にまとめてくれているので、とてもいいブログと出会えたなと個人的には感じております。

おわりに

前回紹介した記事はスポーツ新聞の記事であり、働き方改革という観点に焦点をあてたものでしたが、ある程度話ができあがっている感じもありました。

こういう誘導のような記事にも注意しなければいけないと思いつつ、伝えたいことはそこではないので紹介しましたが。。。

今回のブログは、大手の記事ではないものの、本質を捉えているいい記事だと思ったので紹介させていただきました。

今後も良いものはいい、という観点でいろいろと取り上げていきたいと思っております。

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