採用情報の紹介を初めて3年目になりました。
データも蓄積されてきましたので(私の手元に残っている情報がソースになってしまいますが)比較しながら分析をしていきたいと思います。
学校法人フェリス女学院のページ
フェリス女学院中学校・高等学校のページ
重要なことは最後のほうにまとめてありますが、まずは今までの採用情報をバーっと眺めてください。
眺めるだけでも変化を感じ取れることもあると思います。
2020年の教員採用
4月
英語の専任教諭または常勤講師2名の募集を出していたという記録が残っています。
ブログ内に、TOEIC880以上というような記載がありますね。
しかし、記事執筆時点で最新の2022年度の採用情報にはTOEICの条件がなくなっています。
また、年度内勤務開始の養護教諭の募集もしていたようです。
7月
上記英語の専任教諭または常勤講師の募集が延長されていたという記録が残っています。
この頃は、応募期限を併記することをしていなかったので、本当に再募集なのかどうかの証拠は残せていません。この年は秋ごろから各校の採用情報のPDFを保存することも試験的にしていたのですが、まだ夏前にはその発想には至れていませんでした。
11月
養護教諭を専門嘱託として、情報の非常勤講師と理科の非常勤講師をそれぞれ募集していました。
それぞれ応募の締切日が違うというところは、実は1つ注目すべきポイントだったりします(理由は後述)。
2021年の教員採用
全て以下のページの記録より
4月
4/26付の国語の専任教諭・常勤講師の募集を行っていたようです。
6月・7月
6/25付で国語の専任教諭・常勤講師の募集かけていた記録がありますね。
募集がなかったか、書類選考のハードルが高かったのかはわかりませんが、再募集だと想定されます。
また、7/19付で英語の専任教諭・常勤講師も1名募集しています。
この時は「TOEFL-iBT95またはIELTS7.0または英検1級程度以上が望ましい」という記載だったようです。
資格試験の内容からTOEICがなくなり、新たにIELTSというものが出てきました。
10月
時は流れ秋採用。
10/7付掲載で国語の専任教諭・常勤講師を募集していました。
11月・12月
図書館職員、歴史資料館事務室嘱託職員を常勤職員で募集していました。
こちらの採用情報はなかなかしっかりしていました。
他校ではなかなか見られないものだと思います。
また、理科(化学)の非常勤講師も募集していました。
ただ、実際は週1日の勤務なので、既に働いている専任教諭で賄い切れる量かもしれません。
1月
保健体育の非常勤講師(週2~3日)の募集が出ていました。
2022年の採用情報
最新の採用情報に(4/24時点)あります。
6月中旬から勤務開始のスクールカウンセラーの募集もありますが、英語と国語の専任教諭若干名というものも出ています。
特筆すべきは、国語の募集で年齢制限(35歳という表記)が出てきたこと。
また、英語の資格のところでは「英検準一級、TOEFLiBT85、IELTS6.5 取得程度以上が望ましい」という表記になっていることでしょうか。
フェリス女学院中学校・高等学校の採用情報の年次比較分析 ※重要
専任教諭・常勤講師から専任教諭(初年度のみ常勤講師)への表記の変更
ここまで見てきてお気づきだとは思いますが、2020年と2021年に掲載されたものは専任教諭・常勤講師という記載でした。
しかし、2022年の最新の求人情報は専任教諭(初年度のみ常勤講師として雇用。2年目から専任教諭として雇用)若干名と変わっています。
これは応募する側にとっては安心感につながるのではないでしょうか。
もちろん、昨今の常勤講師問題がありますが、これに対する回答とも受け取ることができるのかもしれません。
内部の情報は実際に勤務してみないとわからないわけですが、事実上の試用期間1年という意味合いが強いのではないかと推測できるようにも思います。
英語の求人における資格試験の要件の変化と緩和
まずは3年分を並べてみましょう
- TOEIC880以上、TOEFLiBT85取得程度(2020年)※注
- TOEFL-iBT95またはIELTS7.0または英検1級程度以上が望ましい(2021年)
- 英検準一級、TOEFLiBT85、IELTS6.5 取得程度以上が望ましい(2022年)
(※注 2020年も語尾は「程度以上が望ましい」かもしれませんが記録が残っていません)
資格がどこまで採用選考に有利に働いているのかは選考している側でないとわかりません。
2020年は参考にする資格試験の1つとしてTOEICがありました。
しかし2021年はTOEICがなくなり、しかもTOEFL-iBTの要求点数が10点上がりました。また、同時にIELTSという新たな指標が加わりました。英検も加わりましたが、求められているのは1級です。
そんな中、2022年になって、要件が緩和されました。記載されている資格試験3種類は変わっていませんが、それぞれ要求される点数や級が緩和されています。
ここから先はあくまでも想像でしかありません。
日本国内でTOEICは受験機会は確保されており、日本人に馴染みのある資格試験でしょう。勉強や対策をすることによってある程度の点数は取得できるという話もありますね(ちなみに私自身の過去最高得点は890点です)。
もちろん、880点は決して低い水準ではありませんが、学校側として求めていた人材、想定していた人材よりも低かったのでしょう(あくまでも推測)。
翌年の2021年度はTOEFL-iBTとIELTSという、日本国内ではあまり馴染みのない、でも海外では用いられている指標のほうに重点をおき始めたように感じます。
一応、日本国内でも馴染みのある英検を追加していますが、要求しているのは最高の1級でした。
昨年は(特に)、英語の募集はかなり多かったと思っています。
もちろん、求人の総数を厳密に数えたわけではないですが、手元に残っている掲載数を見ると以下のようになっています。
国語:95(専任25・常勤22・非常勤18・常勤以上12・専任or非常勤2・常勤or非常勤6)-271-112
社会:66-233-98
数学:78-238-127
理科:83-322-170
英語:124(専任37・常勤27・非常勤29・常勤以上9・専任or非常勤4・常勤or非常勤6・何でも可3・臨時2・不明4)-340-170
※それぞれ春夏採用(4~7月中旬)-夏秋採用(7月中旬~12月)-冬採用(年明け以降)の件数
もちろん、同じ学校が頻繁に再募集を繰り返していたものとかも含んでいるかもしれませんが、集めている情報は同じ人間が集めているのである程度似た基準で集めているはずです。
試しに、国語と英語の募集の内訳を春夏採用のものだけ記載してみました。
(需要があれば他の教科も示します)
年齢制限の表記の有無
2022年の国語の専任教諭の募集の欄には就任時35歳以下の方という表記があります。
私の記録に残っていないだけかもしれませんが、年齢についての表記は1つの指標になります。
学校内で既に勤務している専任教諭の年齢構成を考えた時に、世代交代をスムーズに行うためにもベテラン・中堅・若手をバランスよく揃えたいところです。
今回の国語の求人には年齢制限がついている(少なくとも同時期に募集している英語にはない)ということは、国語を担当されている専任教諭の先生方の年齢層が高めなのではないかという推測もできるかもしれません(もちろん実態はわからない)。
求人票提示のタイミングと内容の差
上で年齢制限が国語にはあって英語にはないと述べましたが、それ以外の項目についても比較してみてください。
ちょうど同時期に複数教科での募集があっているので、比べやすいはずです。
差異を並べると以下の点でしょうか。
- 国語は近現代文学専攻
- 国語は「長期勤務によるキャリア形成のため就任時35 歳以下の方」
- 英語は「英検準一級、TOEFLiBT85、IELTS6.5 取得程度以上が望ましい」
- 英語は「学校・塾(個人指導含む)での指導経験、短期・長期の海外留学・滞在経験があればご記入ください。」
でしょうか。
国語の専門性については必要な情報なので特に問題にはしません。
同様に、英語の資格要件についても問題にしません。
教科で共通していてもいいのに敢えて差を出している点というところで、就任時35歳という条件(既出)と過去の指導経験を赤字にしてみました。
後半の留学などの海外経験は英語特有のものなので問題にはしていません。
学校によっては塾での指導経験などを勘案する学校もあります。
優遇措置の有無は採用選考を行う側でないとわかりませんが、もしかすると昨今の教員不足などの背景や募集要件の変更や緩和などの経緯も相まって、一定の指導力を兼ね備えた教員を確保する上での記述なのかもしれません。
教科単位で独自のことができる学校というのは、学校の中でもボトムアップで提案をできる雰囲気がある可能性があるという観点で、1つ注目しています。
それが如実に現れるのが採用活動だとも思います。
教科主導で行っている(応募の掲載日もバラバラ、選考日程もバラバラなど)は、トップダウンよりもボトムアップの風潮が強い可能性もあります。
もちろん、退職する旨を突然申し出たことにより緊急に募集をかけたというようなこともありえますので、いつでも当てはまるわけではありませんが、実際に面接に赴く際に気にするポイントになるかもしれません。
今回のフェリス女学院中学校・高等学校の場合は、カウンセラーと英語の募集は4/8に出されています。
国語の募集は遅れて4/18に掲載されていますし、年齢制限その他教科間で内容に差異も見受けられます。
ただ、選考日は英語も国語も共通して6/4となっています。
また、法人の大きさを考えても(少なくとも採用活動は)ある程度統一しようという印象を受けます。
考え方としては、(統一はとりつつも)教科の実態に応じて柔軟に求人票の記載に手を加えることもできるという見方もできます。
(なお、求人票の書式もバラバラだったり、統一感の無い採用選考をしている学校もあります。)
おわりに
今回はフェリス女学院中学校・高等学校に焦点をあてて採用情報の比較をしてみました。
採用活動も学校によって上手い下手があります。
全体でも統一したり、法人の縛りがある場合もあります。
いつも言っていますが、並べて比較することで透けて見えてくる内部事情もあります。
今回はかなりわかりやすい年次比較だったのではないでしょうか。
特に英語の資格要件の変遷はここ3年間で毎年変わっていましたね。
それ以外にも身分の記載、国語独自の年齢制限など、考えられることは多かったです。
もちろん、実態は内部で実際に勤務してみないとわかりませんし、予想が外れてしまうことも多々あります。
まずは書類選考を通過し、学校に足を運ぶ権利を得ることが第一です。
その上で、自分の目で学校を見て、学校の雰囲気を感じる。
面接で先生方の考えや人間関係を感じる。
最終的に自分に合う学校の内定を本気で勝ち取る。
もちろん、自分に100%合う学校は存在しないでしょうが、転職は自己責任なので、自分が納得できると思えた学校で働きたいはずです。
実現できるように、学校研究も(まずは求人票から)行ってください。