私学への転職で国語科の先生が気にするべきこと

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国語という教科はとても奥が深いと思います。

日本語という独特な言語について教える教科なわけですが、私学の採用との関係を考察していきます。

名門校、付属校、伸び盛りの学校、教科指導するだけでも大変な学校など様々な学校を渡り歩いてきた観点から記事を更新しています。

他教科の人間の視点で論じていますが、他教科だからこそ感じる面もあると思います。

参考にしていただければ幸いです。

国語という教科と専門性の関係

一口に国語といっても、大きく分けると現代文と古典に分けられます。

そして古典の中でも古文と漢文に更に分けられます。

専門性の分け方が、このように階層分けわれているのが国語という教科の最大の特徴だと思います。

◆ 国語 → 現代文

◆ 国語 → 古典 → 古文

◆ 国語 → 古典 → 漢文

他教科の中でも専門がはっきりとわかれている理科や社会とは性格が違います。

理科や社会は第2階層までで分類できるように感じます。

理科ならば物理、化学、生物、地学で分けられ、社会ならば日本史、世界史、地理、政治経済、倫理で分けられるということです。

もちろん、かつての第一分野と第二分野とか、地理、歴史、公民で分けられるという話もありますけれど、コマ数を考えると少し雰囲気が違うと感じています。

この専門性の捉え方がそれぞれの私学によって異なるため、採用のしかたも学校によってそれぞれ方針が違うのだといくつもの学校を見てきて感じました。

偏差値とカリキュラムを必ずチェックする

当たり前のことかもしれませんが、偏差値が高い学校はきちんと専門の時間を確保して現代文、古文、漢文と棲み分けをする傾向が強いです。

逆に生徒の実態に応じて柔軟にカリキュラムを組みやすいように古文と漢文を分けずに古典のまま運用している学校ももちろんあります。

近年登場した国語総合などの扱い方や、時数としての古典の扱い方が学校によって違うというところが大きいように感じます。

ここで立ちはだかるのが自分の専門性との問題です。

特に漢文が専門の先生方が苦労されている場面をよく見かけます。

上で述べたように、漢文の時間を明確に設定していない学校も多いので、なかなか専門性を活かした採用に結びつかないのです。

そうならないようにするためにも、応募したい学校を見つけたら、どのように学校の中で単位数が設定されているのかを確認したほうがいいでしょう。

また、中高一貫校であれば6年間の教育課程を活かして更に柔軟に時間数を運用している場合もあります。

以下では、それぞれの校種と科目について分けて考えていきます。

中学校国語

公立校でも中学の時点で古典は取り扱いますね。

古文で係り結びの法則くらいは扱いますし、公立高校の入試問題でも問われます。

また、触れる機会は少ないとはいえ、一応漢文の教材も教科書の中に含まれていますね。

有名なのは矛盾でしょうか。

「楚人に楯と矛とを鬻ぐ者有り」から始まる文章ですね。

このように、広い範囲を限られた単位数の中で基礎から積み上げるわけですが、どのレベルの生徒にどのように指導していくのかが問題です。

とりあえず中学の段階ではなんとなく、ふわっとでも触れておけばいい、という発想のもと、同じ担当者が現代文も古文も漢文も生徒の実態に応じて指導している学校もあります。

逆に、忘れてしまってもいいからとにかく一度徹底的に文法をやるんだ、という発想のもと、中学生の段階から古典文法や漢文の句形を扱う上位校もありますね。

上位校の場合だと、ホームページで公開されている1週間の授業時数で国語が5となっていても、その中で細かく現代文3と古典2というように割っている学校が多いイメージです。

ただし、怖いのは入ってみないと正確な情報が取れないことです。

基本的に中学生が勉強するのは「国語」という科目であって、「現代文」や「古典」ではありません。

表記上の問題もあるために中学校のカリキュラムをどう構築しているのかは外部の人間にはわからないのです。

実際にあった話

私が最初に就職した私立学校(大学附属校)の話です。

当時、この学校のカリキュラムの考え方は「先取り学習を行わない」前提のもと、応用的・発展的な学力をしっかりつけていくというものでした。

中学3年生の担任を持っている先生のうちの一人は、専門が漢文の方でした。

しかも専門の度合いが、著書があるとか、論文を書いているとか、そんなレベルで専門性がかなり高い方だったんです。

しかし、この学校では「先取り学習を行わない」という方針だったため、中学生の間は実質的に現代文と古典しかありませんでした。

自分の専門性が活かせない職場であり、さらに人事面でも割りを食っていたのです。

高校生の担任であれば、教科指導でも漢文の指導ができたのに。

中学生の担任ができる人材がいないからこんな配置になっていたわけなんですが、持ち時数の関係もあって高校の漢文の授業はもたせてもらえなかったんです。

私はこの学校を離れることになるのですが、この漢文の先生も数年後に退職されたことを後で知りました。

この先生が次に選んだ学校は、県内でも屈指の私立進学校でした。

漢文の担当者としてご活躍されているそうです。

こんなこともあるので、最悪の場合は専門に関係なく、現代文、古文、漢文のどれでも担当することになる可能性があります。

できればツテを使ってでも、内情が知れると安心して応募することができますよね。

高校現代文

ここまでの記事では主に専門性と漢文の担当者について触れてきましたが、現代文の先生が苦労していないというわけではもちろんありません。

自分の指導方法が確立していればいるほど、悩ましいのが現代文の担当者であるように感じます。

どういうことか。

与えられた文章を読み解いていく作業をすることには変わりないのですが、その方法や思考回路が担当者によって全然違うわけです。

ゴールが一緒でも、通る思考回路の中でも優先するキーワードが違ったり、手順が違ったりする感じでしょうか。

現代文の担当者がコロコロ変わることは、生徒にとっても良し悪しになるということです。

また、自分の指導法がしっかり確立している先生ほど、他の先生の指導の影響があると逆に邪魔になってしまう場合もあります(私が見てきた中でのお話になってしまいますが)。

もちろん、生徒にとっては現代文担当の先生と合う、合わないの相性問題もあるので、コロコロ変わったほうがいいという生徒もいることはいます。

また、現代文は答えが明確に決まっていない(と言ってしまうと現代文担当の先生方に怒られるかもしれませんが)側面もあります。

今年(2020年)話題になったのは立命館大学准教授の富永京子さんの話でしょうか。

著書の「みんなの『わがまま』入門」が都内名門校である海城中学校の入試問題に採用されました。

しかし、著者本人がこの入試問題を解いたところ、満点を取れなかったというものです。

ご本人のツイッターを紹介します。

カラオケの採点で本人が100点を出せないので似たようなパターンといえなくもなさそうですが。

さて、そんな現代文ですが、学校によっては6年間のカリキュラムをしっかり意識して構築しているところもあります。

私が見てきた学校だと、中学生の段階から「論理エンジン」を使っている学校がありました。

学年をまたいでOS1から使っていた学校がありました。

「論理エンジン」の著者は有名な「出口 汪」氏。

私自身もこの方の「現代文講義の実況中継」シリーズと高校2年生の時に出会ってから、現代文に対する取り組み方が変わりましたし、点数も一気にあがりました。

論理エンジンの公式ホームページを見ていると、埼玉県の開智中学校・高等学校での実践レポートや、今治明徳中学校、N中学・高等学校なんかでの採用事例が掲載されています。

賛否両論はあるでしょうし、自分のやり方と異なるから嫌だといっても、もし学校の方針だったりしてしまうと導入せざるを得ないでしょう。

学校によっては使用しているテキストをホームページで公開しているところもありますし、口コミ検索をしていると教材が判明する場合もありますので、頭の片隅においておくといいでしょう。

中高一貫校ではなく、高校のみ設置している私立高校の場合は、高校入試の偏差値である程度生徒の層が揃っているとも考えられます。

3年間でどのようにしてレベルの高い文章を読めるように指導するか。

これはこれで難しい課題でもあるかもしれませんが、中高一貫6年教育の間に大きな差ができてしまっている場合もありますので、一長一短です。

高校古文

あえて古典ではなく古文と表記させてもらいます。

大きな問題としては、やはり正確に古文を読めるようになるための古典文法をどのタイミングでやるのか、という問題ではないでしょうか。

簡単な例でいくと、「風立ちぬ」は「風立たない」のか「風たった」のか、というお話ですよね。

この「ぬ」は打ち消しの助動詞「ず」の連体形ではなく、「完了」の助動詞「ぬ」の終止形なわけです。

打ち消しの助動詞の「ず」だとすれば、「未然形接続」のはずだから風「立た」ずとならなければおかしい。

「立つ」の未然形に接続し、自分自身も終止形で句点につながり文章が完結する。

こういう分析ができるようになるためには、正確に古典文法を学習しなければなりません。

公立校の場合であれば、高校に入学した後に取り扱う内容です。

上でも述べていますが、公立の中学校では係り結びの法則と敬語をちょこっとくらいしかやらなかったと記憶しています。

しかし、私学であれば6年一貫教育のメリットを活かして文法も少しずつ取り扱うのか、それとも古文に触れるだけにするのかという選択肢が出てきます。

あるいは、間をとってよく出てくるパターンだけに絞って文法を取り扱うのか。

このあたりが問題になってくるのではないでしょうか。

下地のあるなしで、やはり高校古文の教育がスムーズにいくのかどうなのか、より複雑な文法事項も触れるのか、というところにもつながっていくと思います。

よく話題に上がるのはこの助動詞の文法ですけれど、最上位のレベルになると、助詞についての知識もあったほうがいい場合もあるように感じています。

生徒が必ず知っていなければいけないのか、と言われるとそこまででもない気もしますが、だからといって先生の側が知らなくていいのか、と言われるとそれはまた別の話になってくるわけで。

高校古文の参考書を見ていても、助動詞の扱いは大きいですが、助詞の扱いはそこまででもありません。

高校の古文(古典)を中心に授業をするのか、古文だけの担当でやっていけるのか、漢文も扱わなければならないのか。

はたまた中学も担当することになった場合に現代文も担当しなければならないのか、中学生に古典の文法を少しずつ教えられるようなカリキュラムなのか、生徒のレベルなのか。

このあたり、よく調査しなければいけないと感じます。

高校漢文

あえて高校漢文と書きました。

漢文の求人情報ってやっぱり少ないですよね。

今年、ここまで半年以上求人情報を見てきて再認識しました。

出ていたとしても、非常勤講師で週何時間の募集という形式が多いように思います

かくいう私の過去の勤務校でも漢文の授業は非常勤講師の先生にお願いしていることが多かったですね。

あとは、漢文の授業がしっかり独立して設定されている場合でも、いろんな学年で担当することになることが多いと思います。

そうなると、どうなるか。

定期試験のときに作成する試験の種類がめちゃくちゃ多くなることもあります。

高校1年生の漢文と、高校2年生の理系の漢文と、高校2年生の文系の漢文と、高校3年生の文系の漢文と・・・という感じです。

私の同僚には漢文の試験を含めて5種類の定期試験を毎回丁寧に作っている先生もいらっしゃいます。

担当している以上、作成するのは当たり前といえば当たり前なんですけれど、念入りに作り込もうとすればするほどやっぱり大変です。

じゃあ、かといって古典として古文も漢文も教えるのか、と言われるとそれはまた違う話になってきますし、中学生の現代文も担当して、と言われればなおさらです。

冒頭から、一番割りを食っているのは漢文の先生かもしれない、というところで論じて来ましたが、そこに回帰してしまいます。

これは漢文の専門としてはしょうがないといえばしょうがないのかもしれませんね。

その他で気になること

今年、求人を見ていてこんなカリキュラムの組み方もあるんだ、と驚いたことがあります。

それは「国語」の求人の中の備考として「中学校の書道の指導ができる方」という条件が入っていた学校があったのです。

学校名は具体的には忘れてしまいましたが、どこかの女子校だった記憶があります。

毛筆にしても硬筆にしても、「書道」の指導もできる、というのは意外に盲点かもしれません。

こんな担当のさせかたもあります。

逆に、中高一貫校であれば、芸術で「書道」担当の先生が指導に一役買う場合もありますね。

このあたりは本当に学校によって様々です。

この情報を見た時に、「自分は書道の指導もできるから応募できる」という方もいらっしゃると思いますし、「苦手だから応募できない」という方もいらっしゃると思います。

「そんな求人があるのなら書道の指導にもちょっと興味が出てきた」というのももちろんアリだと思います。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

一口に私学の国語の採用といっても、考えることは多いと思います。

逆に階層分けが深い(古典の中の漢文など)からこそ、苦労している方もいらっしゃる気がします。

どこまで自分の中で折り合いがつけられるのか、こだわりたいのか、というところ(自己分析的な側面)と、学校の実態と、マッチングに気をつけないといけないと思います。

自分のやりたいことができる学校を探し、自分の能力をフル活用できる学校で働けると、やっぱりやりがいも変わってきます。

理想とする私学での採用を勝ち取るための一助になれば幸いです。

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