学校を個々に分析する第2回は埼玉県にある共学校の狭山ヶ丘高等学校・付属中学校です。
前回の記事が神奈川県の男子名門校である浅野中学校・高等学校だったので、今回は違う県の違うレベル帯で記事を書くことにしました。
第1部は学校の概要について、各方面から集めてきた情報をまとめつつ分析していきます。学校行事も関連させて自分自身が採用された場合にどういうことに注意しなければいけないか(もちろん実際に採用されてみなければわからないことも多いですが)考察していきます。
第2部では学校の学力レベルから考えていきます。入り口や出口の部分に関連する入試はもちろんのこと、カリキュラムの特色、単位数の設定から教員側にどの程度の知識レベルと指導力が要求されるのか考察していきます。
第3部では学校ホームページから読み取れる情報と口コミサイトの情報で気になる点をまとめていきます。担任として働く場合に気になることも考察していきます。
第4部では過去の採用情報から遡って、採用情報の傾向や日程の傾向、選考内容についてまとめていきます。
「狭山ヶ丘」「潰れる」という検索ワードで当ブログを訪れる方が多かった時期があったのは内緒です‥
狭山ヶ丘高等学校・付属中学校の学校概要
学校法人狭山ヶ丘学園
狭山ヶ丘高等学校・付属中学校以外に、なんと幼稚園を設置しています(私も初めて知りました)。
最寄り駅は川越線・八高線の高麗川駅になるのでしょうか。
しかし、高麗川駅からは直線距離でもおよそ1.5kmほどあります。
近隣の住宅街の子どもたちの受け入れ先という感じでしょうか。
設置されたのは1972年です。
(この年代に設置された幼稚園って意外に多いような気もしますね)
狭山ヶ丘高等学校・付属中学校の教育理念
学校ホームページには以下のようにあります。
自己観察教育 ~自分の心を見つめる~
開校以来、本校は心の教育「内観」を重視してきました。「内観」とは、自己を見つめ今までお世話になった父母・先生・友人など身近な人との交流を思い起こし、本来のあるべき自己の姿に気づくことを主眼としています。
時代とともに生徒数も増え、学力も向上したことから、この内観の精神を、学校の現状に具体的に適応するように発展させたものが、本校で実践している「自己観察教育」です。この自己観察教育こそが、躍進を続ける本校の進学実績の基(もとい)となっています。
http://www.sayamagaoka-h.ed.jp/outline/idea/
これは創立者である近藤ちよが取り組んできたものになります。
学校創設当時は洋裁研究所だったようですが、その後は教育方法が注目され、テレビなどでも取り上げられているようです。
以下はWikipediaからの引用です。
1965年3月 – NHKの報道番組「現代の映像」に狭山ヶ丘の内観教育(自己観察教育)が取り上げられ、「非行への砦」と題して放映される。同月、学校教育内容の優秀さが認められ、文部大臣賞を受賞。
1980年11月 – 創立者近藤ちよ、私学教育振興が認められ、文部大臣賞を受賞。昭和天皇・皇后と面会。
1984年5月 – 近藤ちよ、自己観察教育確立および私学教育への貢献が認められ勲四等瑞宝章を授受。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8B%AD%E5%B1%B1%E3%83%B6%E4%B8%98%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E3%83%BB%E4%BB%98%E5%B1%9E%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1
なかなか日本の教育に貢献された方だったみたいですね。
お亡くなりになったのは、1996年とのこと。
その後、小川義男氏が校長に就任しています。
ホームページを見ると、現在でもこの小川義男氏が校長のままですね。
生まれが1932年ということで、もうそろそろ90歳になろうか、という方です。
よくよく調べていると、この小川義男氏、テレビ出演を何度かしているようです。
世界一受けたい授業に度々出演されていますね。
著書もいくつもあるようです。
・名物校長の教育論―「教育の再生」がなければ、日本はつぶれる
・「親ばか」「教師ばか」が「素直な子」を育てる―熱血「校長ばか」が正論! (小学館文庫)
学校教育から見る狭山ヶ丘高等学校・付属中学校(学校生活編)
学校行事
1学期
中学校では5月に軽登山を行っているようです。
このあたりは地の利も活かしているような気もします。
中1が高尾山、中2が丸山、中3が子ノ権現に登ったとあります。
6月には中学校で理科実習があるようです。
行き先はなかなか悪くないと感じます。
ホームページには中1が多摩六都科学館、中2が城ヶ島と油壺マリンパーク、中3が地質標本館とJAXAに行ったとあります。
多摩六都科学館は地の利もあるでしょうし、JAXAの見学はなかなか興味深いです。
また、中学でも高校でも6月に体育祭を行っています。
2004年から西武ドームで行っているようです。
2学期
9月には狭山祭(文化祭)を行っています。
中学は展示や劇主体で歴史や時代について調べたり、英語劇を行っているようです。
また、中学では同じく9月に社会科見学も行っており、中1が江戸東京博物館、中2が小田原、中3が鎌倉に行ったとあります。
中学は行事をふんだんに行っており、10月は中1で軽登山、中2で宿泊研修(富岡製糸場と榛名山)、中3で修学旅行(4泊5日で愛知、奈良、京都)がこの時期に設定されています。
11月は中高ともに芸術鑑賞会が設定されています。
また、中学は同じく11月に合唱コンクールが行われるようです。
3学期
年が明けて1月は中学高校ともに持久走大会を所沢航空記念公園で行う模様(立地をいかしていますね)。
2月は中学がスピーチコンテスト、高校がスキー教室や修学旅行が行われます。
修学旅行は海外の宿泊研修ですね。
年間を通して
個人的な感想ですが、中学は毎月のように行事がある印象です。
担任になったときの動きを想像してみると、なかなか作り込むのが大変そうです。
学校側にどこまでノウハウの蓄積があるのか、というところでしょうか。
高校の海外の修学旅行については、似たようなプログラムを組んでいる学校で勤務していたことがあります。
その学校の場合の話になってしまいますが、海外の修学旅行といえどもプログラム通りに進むように、基本的には安全管理が主たる業務で、自分がなにか企画をしなければいけないということはなかったと記憶しています(企画面の負担は少なかったということです)。
もちろん、狭山ヶ丘高等学校がそうかどうかはわかりませんが。
施設・設備
全館エアコン完備。
1号館は5階建てで、普通教室の他は講堂・視聴覚室・理科室が存在します。
2号館は2015年に完成した普通教室、中学生専用の図書室・自習室、美術室、技術室、理科室、音楽室、進路指導室、進路ホールなどがあります。
6階に3つの理科室があるということで、物理や化学の実験は実験室で、生物や地学の実験は理科講義室で行われるという記載もあります。
7階に音楽室があるということで、最低でも2号館の高さは7階もあるようですね。
3号館は地下1階、地上5階で普通教室のほかは図書室、茶室、情報室、家庭科室などが存在。
高校図書館には自習スペースもあり、136席あるようですね。
その他、体育館もありますが、スクールバスで15分ほどのところに狭山ヶ丘学園総合グラウンドがあるようです。
多目的グラウンド、サッカー競技場、野球場、弓道場、公式テニスコート(2面)などがあり、夜間照明も完備とのこと。
2020年には管理等「義学館」がオープンし、中にはトレーニングルームやウェイトルーム、県道やなぎなたの試合場が3面入る冷暖房完備の武道場もあるということです。
また、学校から徒歩3分のところには攻々館という施設もあり、1階が武道場、2階が卓球場として使えるようです。
立地が立地だけに、かなり屋外施設は充実していそうです。
部活動
運動部
- 陸上部(強化部)
- 野球部(強化部)
- 女子バレーボール部(強化部)
- サッカー部(強化部)
- 女子サッカー部
- 卓球部
- 水泳部
- 合気道部
- 弓道部
- 男子バドミントン部
- 女子バドミントン部
- 男子バスケットボール部
- 女子バスケットボール部
- 男子テニス部
- 女子テニス部
- アメリカンフットボール部
- 薙刀部
- 創作ダンス部
- 剣道部
文化部
- 吹奏楽部(強化部)
- インターアクトクラブ(IAC)
- 家庭科部
- 茶道部
- 創作研究部
- 美術部
- 放送部
- 科学部
- 文芸部
- 演劇部
- 合唱部
- 書道部
- 軽音楽部
- 囲碁将棋同好会
- 漢詩俳句同好会
- 写真同好会
- 園芸同好会
- 数学同好会
- 交通研究会
- 歴史研究会
強化部はほとんど毎日のように活動しているようです。
また、運動部も一定数が週の半分以上は練習をしていて、強化部でなくても週6で練習をしている運動部もありますね。
反面、週3~4の運動部もあります。
水泳部などは、学校の部として存在しているものの、各自が外部のスクールで練習しているようです。
大会参加用に学校の部活動を設置しているという感じでしょうか。
文化部は週2~3日のものが多い様子が伺えます。
学校教育から見る狭山ヶ丘高等学校・付属中学校(学習編)
どちらかというと、中高一貫の6年間よりも、高校の3年間で勝負している学校。
中学は2クラス、高校は9~10クラスというように、数に差があります(高校400名のうちの80名程度は内部進学生のようです)。
都内の私学(だけでなく公立の中等教育も)は高校からの募集停止をしている学校も多い中、高校からの募集のほうが多い学校。
コース設定は以下の通りになっています。
狭山ヶ丘高等学校のコース設定
高校のコース制としてはよくある形式のコース設定だと思います。
【Ⅰ類】難関国立進学コース
東京大学をはじめとする最難関国立大学現役合格を目指すコース
【Ⅱ類】特別進学コース
国公立大学や早稲田大学、慶應義塾大学をはじめとする最難関私立大学現役合格を目指すコース。
【Ⅲ類】総合進学コース
文武両道を合言葉に、部活動に勤しみながら難関大学現役合格を目指すコース
【Ⅳ類】スポーツ進学コース
部活動(主として野球部およびサッカー部)に重点を置きながら大学進学を目指すコース
※推薦入試(専願)での受験となっており、事前に当該クラブ顧問との事前相談・練習参加が必要とのこと。
募集の段階で、偏差値の設定を階段状にしているのだと思います。
自分も、過去にコース制をしていた学校で勤務していたことがありますが、偏差値を2~4程度階段状に設定して生徒募集をしていました。
各教科についてのコメントより
以下では各教科について、見ていきます(対外的な文章であることは念頭においてくださいね)。
どの教科についても、中学校のページには担当教員の写真付きで文章が掲載されているが、高校のページには写真はなく、文章のみで記載されています。
なお、3年間のカリキュラムや配当時数など、全体が見渡せるようなカリキュラムは、学校案内パンフレットに記載されていました。
中学は週あたり時間数が中1で35、中2で36、中3で35となっています。
高校は同様に高1で34、高2で36、高3で34となっています。
ただし、スポーツ進学のⅣ類は34-29-29だったり、Ⅱ類やⅢ類でも高校2年生以降は私立文系と国立文系に更に細分化していて単位数も違う。
これは少し学校の特徴が出ているかもしれないので表にしておこうと思います。
以下の文章中では、配当時数が突然出てくるかもしれませんが、一覧表で確認したい場合は各自でPDFファイルをダウンロードしてください(2021年版の学校案内パンフレットの中で2019入学生のものが公開されています)。
なお、以下では教科・科目ごとに見ていきますが、一行目の単位数は中学の入学案内に記載されている高校の単位数になっております。
実質、Ⅰ類の単位数が記載されているので、上を目指しなさいという意図なのかもしれませんね。
国語
配当時数は中学5-5-5からの高校5-6-文6理3。(←高校3年のⅡ類Ⅲ類の文系は8単位だったりします)
単位数については以下の画像の通りです。
古典と古文が紛らわしいかと思い、古典と記載してあります。
また、国演は国語演習のことです(想像していただけたと思いますが)
圧巻はⅡ類高2私立文系の9単位でしょうか。
学校ホームページにある国語については、中学では読解力に力を入れているようにも感じます。
ちなみに、古典(古文・漢文)についての記載は特に見当たらず。
高校のほうでも、大学入試共通テストなどを意識した表現は感じられるものの、現代文主体の記述で特に古典についての記載はありません。
もちろん、単純に文章を書いている教員が現代文の担当の方だという理由もあるかもしれません。
数学
配当時数は中学5-6-5からの高校6-7-文3理6。(←高校3年のⅡ類Ⅲ類の私立文系は0単位だったりします※後述)
中学ははっきりと代数と幾何にわかれており、どの学年での代数は3時間で残りが幾何に割り当てられている。
使用している教材は特に記載がありません(体系数学を使っていたような気がしますが、私の記憶違いかもしれません‥)。
中高一貫の学校案内パンフレットには、先取り学習の記載もあるが、果たしてどのように組んでいるのか気になります。
というのも、基本的には一貫生も高校2年生から高校入学組と混合クラスになると記憶しているからです。
中学からの先取りと高校入学組の進度の調整の落ち合う場所が気になります。
最後の1文には「日々大学入試問題や授業の研究に努め、平素の授業に力を入れております。」とある。
ちなみに、高校のコースごとの単位数は以下の通り。
ローマ数字の部分が識別しにくいかと思い、一部明朝体にしたため、フォントが混じってしまっています(それはそれで見にくいという方はすみません)。
いやぁ、わかりやすいですね。
Ⅱ類以下は、早々に私立文系志望の生徒に対しては数学をなくしています。
しかし、2020年2月の入試で、早稲田大学が一部の文系学部で共通テストの数学を必修にしたのは話題になりました。
とはいえ、早慶を目指す生徒の層は、基本的にはⅠ類に在籍している、ということなのでしょうか。
あるいは、早稲田で課したのも共通テストの数学Ⅰ・Aまでなので、早稲田も視野に入れている生徒は国立にするということなのでしょうか。
興味深いのは、Ⅰ類の生徒に対しては文系も理系も同じ単位数ということ。
Ⅰ類が2クラスであり、年度によってキレイに文系志望と理系志望の人数が分かれるとは限らないため、ホームルームクラスは文理混合クラスなのかもしれませんね。
逆に、Ⅱ類とⅢ類の理系生徒については、Ⅰ類の理系生徒よりも単位数が少なくなっています。
英語
配当時数は中学5-5-5からの高校6-6-7。(←高校3年のⅡ類Ⅲ類の私立文系は10単位だったりします)
ホームページの記載順では、中学は国数英で3番目だが、高校ではなんと最初が英語。
高校のでは「授業」「ゼミ」「講座」を設置しているとのこと。
「ゼミ」は高校3年生の朝と放課後および、夏と冬の長期休暇に開催されているそう。
国公立大学対策ゼミ、早慶上理対策ゼミ、GMARCH対策ゼミという名称。
やはりかなり大学受験は意識している様子です。
なお、高校のコースごとの単位数は以下の通りです。
もともとの学校案内パンフレットでは、Cではなくコミュニケーション(Ⅰ~Ⅲ)、Gではなく英語表現(Ⅰ~Ⅱ)という表記になっていました。
演は英語演習のことです。
私立文系を選択すると、高校2年生から英語が週10時間もあるんですね。
単位数の多さと成績の関連性が少し気になります。
やはり触れる時間が長いと成績も比例していくのでしょうか。
社会
配当時数は中学4-4-5からの高校4-文8理5-文9理2。
もしかしたら、社会(や理科)の教科選択の設定のしかたが、一番学校の特徴が見えてくるかもしれないですね。
高校1年生では世界史と日本史が必修。
その後は一覧表のほうがいいかと思いますので作成しました。
理系は問答無用で地理選択のようですね。
個人的に面白いと感じるのは、Ⅰ類の生徒が文系でも地理が必修となっていることでしょうか。
歴史2つの負担を自動的に減らしていると考えることもできるかもしれませんし、文系生徒でも論理的に考える地理のほうが(経験的に)いいという理由なのかもしれません。
高3の時点では地or世or日から2つになるのかと思いきや、地理は必修です。
Ⅱ類以下では、文系の社会選択は1科目に絞っていますね。
世界史か日本史か政治経済の3択は準備されています。
3年間で終わらせられるかどうか話題になることが多い世界史も、高校3年間で13単位(Ⅱ類私立文系)あると、どうにか終わらせることができるのでしょうか。
理科
配当時数は中学4-5-5からの高校4-文2理7-文3理10。
中学の5単位は、それぞれ第1分野と第2分野で2.5時間ずつという取り扱いのようです。
学校ホームページで気になる表現としては、中等部の3年間を通して「理科実習」と呼ばれる課外活動を行うということ。
3年間の集大成として、スライド発表をさせるそうです。
中学3年時に課題研究をさせる学校に勤務していた経験もありますが、このあたり、理科教員の時間の割き方と、生徒の能力と、学校の環境(施設・設備・周辺環境etc)などのサポート体制次第で仕上がりがかなり変わってきます。
狭山ヶ丘の生徒の課題研究の出来が気になりますね。
高校のコースごとの単位数は以下の通り。
文系、理系ともに地学の選択の余地はないように感じます。
理系生徒は化学必修で物理と生物の選択、文系の生徒も同様なのでしょうか。
気になるのは、高1の段階での科学と人間生活をどのように取り扱っているかという点です。
このタイミングでは満遍なく扱っているのか、生物や物理を厚めに取り扱っているのかで文系生徒の科目選択にも影響してそうです。
化学と生物を選択させているようにも感じますが、上位層は物理と化学の組み合わせのほうが高得点は狙いやすいようにも感じます。
更に、どちらも苦手な場合は地学という選択肢もでてくるような気もしますが、どうなんでしょうか。
いずれにしても、今後変わっていくのかもしれません。
理系の化学は3年間で11単位設定されていると考えると、かなり潤沢な印象です。
問題演習だけでなく、生徒実験もどこまでやらせているのか気になります。
学校ホームページには「より多くの実物に触れる」という表現もありますので、意識的に取り組んでいるのかもしれません。
もっとも、高校3年生の6時間は半分に区切って、有機化学と入試対策演習をしていることも考えられるのですが。
総じて見ると
比較的早い段階から、大学入試を意識した、メリハリの強いカリキュラムのように感じます。
担当教員になったとしたら、コースによって潤沢な単位数をどのように扱っていくのか、モチベーションの維持管理をどうするのか、など考えることは少なくないような気がします。
狭山ヶ丘高等学校・付属中学校の入試と偏差値
狭山ヶ丘高等学校付属中学校の入試
試験日程は1/10・1/12・1/15・2/6の4回。
いずれも2科と4科のどちらかを選択することができます。
日程の設定としては、埼玉県の中学入試の皮切りの1/10に第1回を行い、東京都の中学入試が一段落したところで2/6に最後の入試を行うということで、募集する生徒の層は少し見えてきそうです。
募集人員は40人→25人→15人→若干名と日付とともに減らしているようです。
試験科目と配点は以下の通りです。
2021年度入試
【4科】
国語(50分・80点)
算数(50分・80点)
理科(30分・80点)
社会(30分・80点)
【2科】
国語(50分・100点)
算数(50分・100点)
<過去には以下のような設定だった?>
国語(50分・100点)
算数(50分・100点)
理科(30分・60点)
社会(30分・60点)
(※更に昔は理社で60分120点だったことも‥?)
直近の入試では、4科受験の場合は均等配点だったようですが、過去情報だと時間配分と点数は、うまく比例しています(時間も配点も理社が国数の0.6倍)。
学校の公式サイトでは、中学入試の詳細については順次更新とのことで、入試改革の途中なのかもしれません。
また、古い記事をみつけたのですが、更に昔は理科と社会をくっつけて60分にしてとの記載も見かけました。
四谷大塚の偏差値では、男女とも1/10のデータしかありませんが、80偏差値が39、50偏差値だと34となっています。
首都圏模試センターの偏差値ではもう少し高く出ていますが、こちらのサイトでは2科と4科で別々に偏差値を提示しています。
入試回 | 教科 | 偏差値 |
第1回 | 2科 | 49 |
(1/10) | 4科 | 47 |
第2回 | 2科 | 49 |
(1/12) | 4科 | 47 |
第3回 | 2科 | 50 |
(1/15) | 4科 | 48 |
第4回 | 2科 | 44 |
(2/6) | 4科 | 42 |
どの入試回でも、2科よりも4科で受験したほうが、少し偏差値は低くなっています。
負担の面を考えると妥当なのかもしれません。
首都圏模試センターの偏差値では第3回の偏差値が最も高くなっています。
一方、インターエデュのサイトでは、4科と2科での偏差値の差は表示されてはいません。
また、回を追うごとの偏差値は以下のようになっています。
入試回 | 80偏差値 | 60偏差値 | 40偏差値 |
第1回 | 43 | 40 | 37 |
第2回 | 42 | 39 | 36 |
第3回 | 41 | 38 | 35 |
第4回 | 39 | 36 | 33 |
こちらは逆に、回を追うごとに下がっていますね。
出願数、実受験者数、合格者数、合格最低点などは以下の通り。
2021年度入試
入試回 | 性別 | 出願者数 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格最低点 |
第1回 | 男 | 81 | 81 | 66 | 非公表 |
(1/10) | 女 | 59 | 58 | 50 | 非公表 |
第2回 | 男 | 65 | 39 | 35 | 非公表 |
(1/12) | 女 | 56 | 30 | 23 | 非公表 |
第3回 | 男 | 55 | 22 | 10 | 非公表 |
(1/15) | 女 | 46 | 22 | 17 | 非公表 |
第4回 | 男 | 42 | 15 | 10 | 非公表 |
(2/6) | 女 | 36 | 17 | 14 | 非公表 |
以下に示してある2020年度のときよりは、志願者数は少し増えていそうです。
どの入試回についても、男女ともに伸びていそうですね。
コロナ禍もあり、公立不信が強まったためでしょうか。
2020年度入試
入試回 | 性別 | 出願者数 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格最低点 |
第1回 | 男 | 59 | 58 | 46 | 非公表 |
(1/10) | 女 | 51 | 51 | 37 | 非公表 |
第2回 | 男 | 53 | 26 | 17 | 非公表 |
(1/12) | 女 | 50 | 34 | 24 | 非公表 |
第3回 | 男 | 43 | 17 | 12 | 非公表 |
(1/15) | 女 | 37 | 20 | 14 | 非公表 |
第4回 | 男 | 34 | 6 | 6 | 非公表 |
(2/6) | 女 | 28 | 10 | 10 | 非公表 |
第4回の入試の受験者数と合格者数がなかなか凄いことになっています。
受験率、合格率(倍率)など考えさせられてしまいます。
狭山ヶ丘高等学校の入試
2021年度入試の試験日程は推薦入試が1/22~1/24の3日間で、一般入試が2/5だったようです。
受験料は各回25000円ですが、複数回受験割引も設定されていて、1回受験25000円、2回受験35000円、3回受験40000円、4回受験45000円のようです。
推薦入試は各回とも専願・併願どちらもあります。
また、試験科目は国語・数学・英語の3科のようです。
推薦入試の内申点については以下の通りです。
推薦入試の場合、それぞれの内申点の基準に到達していれば校長推薦をもらった上で出願をすることになります。
しかし、下記の基準を満たしていなかったとしても、自己推薦によって出願することも可能なようです。
ちなみに、校長推薦の条件としては、内申点が基準点に到達していること以外に、3年間での欠席日数が出願時までに15日以内であることや、3年生の評定に1がないことなども記載があります。
専願推薦入試
要求されている内申点は以下の通りです。
コース | 5教科 | 9教科 |
Ⅰ類 | 23 | 41 |
Ⅱ類 | 21 | 38 |
Ⅲ類 | 18 | 34 |
Ⅳ類 | 15 | 27 |
併願推薦入試
要求されている内申手は当然ですが上記専願入試よりも少し高いです。
コース | 5教科 | 9教科 |
Ⅰ類 | 24 | 42 |
Ⅱ類 | 22 | 39 |
Ⅲ類 | 20 | 36 |
Ⅰ類とⅡ類は専願の数値に+1ですが、Ⅲ類は+2になっています。
最後に、一般入試の偏差値について見ていきましょう。
学校単位で表示してあるものだと、ざっくりと53~69というような記述も見かけます。
また、コースごとに表示していあるサイトであればⅠ類が64、Ⅱ類が61、Ⅲ類が55というものも見かけました。
あとは、他コースへのスライド合格制度も準備されています。
私自身、同様の制度を設定していた学校に勤務していたことがありますが、当日の出来次第では上も狙えるというタイプの学校でしたが、悪くない制度だと個人的に思っています。
もちろん、私が想定している制度と同じような制度なのかどうか詳細はわかりませんが。
あとは、英語を活かした傾斜配点制度というのも設定しているようです。
これは入試当日の朝に、筆記試験開始前に得意科目を選択し(国語または数学)、英語300点、選択した国語または数学200点、選択しなかった数学または国語を100点という配点にする制度です。
通常は3科目とも200点なのです。
是非はともかくとして、面白い制度だと感じますね。
合格実績から見る狭山ヶ丘高等学校・付属中学校
学校案内を見ると、過去には東大合格者も輩出したことはあるようですし、Ⅱ類からは早慶レベル、Ⅲ類からでも立教大学などのGMARCHレベルは狙えるというスタンスを目指しているように感じます。
直近(令和3年度)の合格実績を見ると、東京外国語大学1が目立ったところでしょうか。
防衛医科大学校の合格者数が3とあるのですが、医学科なのか看護学科なのかの記載はありません。
国公立大学の合格者数は卒業生344名に対して合計で45名(既卒生含む)です。
合格実績の中には室蘭工業大学、弘前大学、秋田大学、富山大学、山口大学、宮崎大学など北から南まであります。
私大に目を移すと、早稲田大学6、慶應義塾大学4、上智大学8、東京理科大学13となっています。
GMARCHは168となっています。
医学部医学科は東京医科大学、日本大学、帝京大学、北里大学が各1のようです。
私大の合格者数だけ見るとGMARCHは168となっていますが、埼玉県のいくつかの私学では合格者の水増し問題もありましたね。
ベタですが、以下のページも御覧ください。
大学合格実績水増し問題(wikipedia)
ホームページの作り込み方から見る狭山ヶ丘高等学校・付属中学校
やはり残念なのは、暗号化通信に非対応であること(おかげで直接リンクが貼れません)。
上部にあるメニューバーはホームページへのリンクと、高等学校・中学校・入試情報・部活動・アクセス・対象者別ご案内となっています。
トップページは動画ではなく、生徒の様子がわかる大きめの写真に文字を入れているものを切り替え表示させるタイプ。
トップページから下にスクロールしていくと、お知らせ(この中に採用情報についても記載あり)や学園の説明が続く。
あとは学校自己評価シートだったり、校長ブログのようなものだったり、スクールバスの運行表などが設置されている。
使われているのがwordpressなのは、いくつかのページのロゴが変更されていないことからわかります。
メインのページのロゴは校章に変わっているのですが、細かいところまで手を回せていない印象です。
コンテンツの幅については、かなり充実している方だと感じます。
サイトマップを見ても、私立学校としては充実している部類のように感じます。
もちろん、細部や深さまで追求するのであれば、まだ改善の余地もあるように思います。
スポーツ推薦の形式もあるので、部活動の項目が少し大きめなのも特徴の一つかもしれません。
狭山ヶ丘高等学校・付属中学校の口コミ
学校の教員目線で見ていくと、経験者からするとさもありなん、という感じではないでしょうか。
どの口コミもなくはないだろうなぁ、と感じることが多いです。
このレベル帯の生徒の層が考えていそうなこと、高校生活に期待していそうなこと、そして現実とのギャップ、義務教育ではなくなった高校という教育課程への適応の度合いなどを踏まえると、個人的には十分想定の範囲内です。
毎回のことですが、在校生が一時の感情のままにとはいわないものの、負の感情を書き込むのはどこの学校にも大なり小なりあると思います。
そのあたりは自分でも補正しながら読んでいくといいと思います。
あとは、私にしか書けない口コミについての記事もあります。
ご参照ください。
狭山ヶ丘高等学校・付属中学校の採用状況
2020年度
最初の掲載は4月。
図書館の事務職員でパート扱い。
司書教諭または司書の資格をもつ50歳までで時給1000円の募集だった。
2回目の募集の掲載は9月。
国語・数学・社会(日本史・世界史)・理科(物理・化学)・英語の専任教諭・常勤講師・嘱託の募集をしていました。
あとは家庭科の嘱託または非常勤講師の募集もありました。
締め切りにも余裕が見られたと思います。
あとはこのタイミングで、校長秘書というパート職員が時給1000円で募集されていました。
応募締め切りは10月3日だったようです。
少し後でも募集情報が変わったことがわかります。
応募締め切りを11月20日として専任教員(または常勤・非常勤)で英語・国語・理科(物理)・社会(世界史)を募集していました。
同時に家庭科の非常勤講師も募集していたと記録にはあります。
いくつかの教科で採用が決まったのかなという印象をもちます。
その後、私の多忙とともに、更新が滞った時期があるので冬の採用については詳細なところまで負いきれていませんが、少なくとも2月~3月も募集していた記録が残っています。
2月時点では英語・数学・家庭科の非常勤講師を、3月末時点では左記に加えて理科の非常勤講師も随時募集していたようです。
2021年度
最初の掲載は5月です。
◆5/7付掲載の国語の専任教諭@6月16日応募締切 |
◆5/7付掲載の英語の専任教諭@6月16日応募締切 |
◆5/7付掲載の英語の非常勤講師@6月16日応募締切 |
注意点としては、最後の非常勤講師の募集のみ今年度(2021年度)の9月1日採用ということ。
国語と英語の専任教諭は2022年度の募集。
英語については、埼玉県の私学に限った話ではなく、全体的に不足していますが、今年度途中の募集も行われています。
立地条件から見る狭山ヶ丘高等学校・付属中学校
基本的には西武池袋線の武蔵藤沢駅から徒歩13分。
西武池袋線を使うこと前提なのであれば、西武秩父からは1時間、飯能からは12分。
都内側から向かえば、池袋から34分、石神井公園からは24分、所沢からは10分です。
より広域から生徒を通学しやすくするために、スクールバスを運行しています。
東武東上線を利用する生徒、JRを利用する生徒で川越駅を利用する生徒は、川越駅からスクールバスで40分になっています。
ちなみに、川越駅までの所要時間は、東武東上線なら坂戸から13分、志木からは11分ほど。
JRを利用した場合、大宮から22分、高麗川からは19分が目安になっています。
西武新宿線の利用者で川越方面から来るは、入曽駅からスクールバスで15分となっています。
入曽駅までは本川越から12分ほど。
東京川から通学する場合、西武新宿や高田馬場からは所沢乗り換えで40~50分程度というところでしょうか。
あえて入曽駅まで行ってスクールバスに乗車するというパターンもホームページには記載されています。
国分寺からも入曽までは24分という表示がありますね。
確かに、そのまま西武新宿線で所沢→新所沢→入曽→スクールバス15分のほうが、所沢乗り換え→西所沢→小手指→狭山ヶ丘→武蔵藤沢→徒歩13分よりもいいのかもしれません。
最近はわかりませんが、小手指止まりの電車も少なくなかったような気もします。
あとは、JRを利用する生徒で八高線を利用する生徒は、箱根ヶ崎からスクールバスで20分という選択肢もあります。
箱根ヶ崎までは、八王子から20分、拝島から8分、高麗川から21分となっています。
通学の利便性を考えると、なかなか厳しいかも知れませんが、欲をいうと秩父、川越から西武池袋線沿線の家庭、拝島や八王子方面まで視野に入れられるのかもしれません。
東京と埼玉では入試の日程も異なりますし、県境に居住しているご家庭からすれば、チャンスが増えることにもつながるので、視野に入ってくるかも知れません。
実は、先程もリンクを貼った記事に登場する私の教え子も、都県の境をまたいでいたりします。
それでは、第3回の記事でまたお会いしましょう!