女の子が幸せになる「学校の育て方」(品川女子学院の理事長(漆紫穂子氏)の記事@ダイヤモンド・オンラインより)

労働環境

今回は品川女子学院について、理事長である漆紫穂子氏のインタビュー記事をみかけたので紹介していきたいと思います。

私が見かけたのは表題にある記事で連載記事の第3回のものでした。

第1回と第2回のものも含めて見ていきましょう。

https://diamond.jp/articles/-/277140 
(第1回『経営危機からよみがえった「品川女子学院」、人を動かす4つの法則とは』)

https://diamond.jp/articles/-/277538 
(第2回『社会で活躍する女性の共通点、「品川女子学院」理事長が語る』)

https://diamond.jp/articles/-/279794 
(第3回『女の子が幸せになる「学校の育て方」』)

今まで紹介していた記事としては、おおたとしまさ氏が聞き手を務めていたものが多かったと思いますが、今回ご紹介する記事の聞き手は森上教育研究所代表森上展安氏です。

2021年7月21日付の記事 第1回『経営危機からよみがえった「品川女子学院」、人を動かす4つの法則とは』より

経営危機について

ご存知の方も少なくないと思うのですが、この品川女子学院という学校は経営的にかなり厳しい状況にあった時期がありました

その話は第1回の連載記事にも少し書かれています。

当時の中等部(併設)の入学者数が1クラス分という話もありました。

経営を意識したり、生徒募集を意識したりする立場や年齢や役職になると、この状況は気になる方が多いのではないでしょうか。

第1回記事の3ページ目には、偏差値が当時「測定不能」だっという話もありました。

そもそも志望者がいないので計測できない、という状況だったみたいです。

やはり、まずは志望校の中に入れてもらう、書いてもらうことは大切なんだと改めて思わされてしまいます。

私学で働いていても塾回りや営業系の仕事に対する不満の声はないわけではありません。

私自身も複数の学校で勤務してきましたが、「教員の仕事は授業と目の前の生徒に関わる仕事だ!」という方は一定数いらっしゃいます。

もちろんその気持ちもわかりますし、教育ですから目の前の生徒は第一優先です。

ただ、経営や生徒募集について全く考えなくていいかと言われると、それはまた別の話です。
(もしかしたら優秀な経営陣が引っ張ってくれて経営について考えなくてもいい職場もあるのかもしれませんが)

記事2ページの「人が動かない4つの理由」

学校現場で(もそれ以外でも)働いていると、同僚に対して思うことはあると思います。

仕事の分担とかそういう話になってきてしまいますが。

この、記事の2ページにかかれている「人が動かない4つの理由」は読めば多くの人が納得できるのではないでしょうか。

漆紫穂子氏がいう「人が動かない4つの理由」は以下の通りです。

1,(そもそも)情報を知らない

2,面倒くさい

3,責任を取りたくない

4,発言者(提案者)のことが嫌い

というもの。

ここからつなげて「情報共有をしっかりしましょう」「私が責任を取るからの一言で変わることも」という話にもつながっていますね。

最後のものは、もしかしたら特有のものがあるのかもしれません(明言は避けますが)。

どちらかというと、第1回の連載記事では学校のこれまでと改革の流れについてのまとめ記事という印象で、学校特有の教育の特色や考え方は次以降の記事で出てきます。

2021年8月4日付の記事 第2回『社会で活躍する女性の共通点、「品川女子学院」理事長が語る』より

私自身も今年の中高生新聞(か何か)で見かけたのですが、品川女子学院が行っているものに「28project」というものがあります。

卒業して10年後、28歳のときの自分がイメージできるのか、実現するためには何が必要でどう行動すべきかという、能動的に人生設計をするような取り組みです。

これについて、第2回の記事で、昨今の社会情勢の変化だったり、共働き世帯の増加だったり、女性の社会進出だったりという観点から論じられています。

今までの日本的な考え方と、変わりつつある価値観や考え方についてどうすべきかを少しずつ形にしているように感じました。

変わりつつある価値観と私が述べた理由の1つは、3ページに記載されている金銭教育についてです。

日本ではまだまだおカネ(の話)は汚いものと捉える文化がある、と漆氏は語っています。

おカネについての教育は日本は遅れていると言われることもあるように感じますが、ここにメスを入れているようです。

国際社会の中で生きていくためには、速いうちから金融経済教育が必要だと感じ、株式学習や起業体験プログラムをはじめました。

https://diamond.jp/articles/-/277538?page=3

こんな記載もあります。

多くの学校が大学受験の合格実績やそもそも毎日の生活に追われていると思うのですが、その教育活動の中に将来を見据えた教育を取り入れるという思想が随所に感じられます。

いまも、家庭科の授業でファイナンシャルアカデミーから「価値と価格」の授業を寄付していただいたり、課題解決学習を行ったりしています。女性のライフデザイン教育を考えるとき、今後は投資や保険についても学ぶ必要があるのではと考えています。

https://diamond.jp/articles/-/277538?page=3

また少し独特な考え方というか、既存の日本の学校にはない新しい考え方なのかもしれません。

最後のページでは、起業家マインドのある女性リーダーを育てるという見出しで記事が続いています。

アントレプレナー(起業家)という言葉も使われています。

ミスを恐れずとりあえずやってみる、できない理由を探さないこと、いまあるリソースで考えないこと、などと日常生活でも気になってしまうような、成功者の格言みたいな文字列も散見されます。

2021年8月26日付の記事 第3回『女の子が幸せになる「学校の育て方」』より

第3回の内容は、今までの内容のフィードバックから始まります。

28projectについての卒業生を対象としたアンケート結果です。

仕事や働き方について肯定的な回答がOGには多かったという内容です(同年代の女性比→詳細は記事を御覧ください)。

そして、更に次のステップへと話が進んでいきます。

連載第3回の最初の見出しは「女性に不足している人材像」。

最初のページの最後のほうには「数字に強い文系」と「しゃべれる理系」という話へと展開していきます。

その出口と入口である中学入試をつなぐためにも算数1科とか4科総合型入試を導入したという経緯の説明もあります。

学歴という言葉も、「学校歴」ではなく「学習歴」が大切(第2回より)とか、変化の激しい現代社会を女性という視点から考えている学校だと感じました。

おわりに

ここから先は完全に私個人の感想も入っています。

学校名だけを聞いて、経営も怪しかった学校でしょ、という先入観が強かったのですが、今年の中高生新聞(?)で特集記事を見てから面白そうな取り組みをしているなとは感じていました。

今回のダイヤモンド・オンラインの記事という別媒体で、より詳しく知ることができて良かったと思います。

偏差値だけでは語れないものがありそうです。

教員の求人票を見ていると、気になるときもあるのですが、学校全体が目指すもの、考え方という観点では他校とは違った経験を積めるのかもしれません。

自分が教員として働くのはやりがいとしては面白そう、金銭的には少し不安というところでしょうか(経営危機時代の先入観が抜けていないだけ?)。

ただ、自分に子供(娘)がいたとしたら、中学受験を視野に入れたくなるかもしれないと思ってしまいました。

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