首都圏「中学受験2022」を総括、史上最高水準の受験比率となった2月1日入試(ダイヤモンドオンラインより)

受験生保護者

首都圏「中学受験2022」を総括、史上最高水準の受験比率となった2月1日入試(2022年2月22日付)

情報を提供しているのは森上教育研究所

様々な受験についての分析を行っていて、記事の多くを占めているようにも思います。

さて、記事によると、埼玉の受験者数が増えたとか、女子の受験者が、とか様々なことが見出しとして設定されています。

昨今、私自身も感じていることなのですが、もう少し情報を補足しながら見ていきたいと思います。

埼玉の受験者数について

昨年比18%増ということで、単純に増加割合について数字で議論するだけにはとどまらないような気がしています。

埼玉県の私立中学校の入試については、その日程設定が1/10~ということで、東京や神奈川の私学の入試の皮切りである2/1の前のお試し受験や滑り止めという意味合いが少なからずあります。

これが18%増ということは、単純に、中学受験の業界がさらにヒートアップしているということなのではないでしょうか。

もちろん、昨今の情勢を鑑みての公立への不信感の増大など懸念されていることはあるように思います(昨今の教員不足や教師のバトンタグその他を鑑みて)。
(もちろん、単純に公立が悪いということではなく、一生懸命やっている先生方が多数いらっしゃるのは公立経験者としては百も承知です。一方で、制度その他の縛りが弱くはないのも知っていますし、現在でもやりとりのある知人もいます。)

教育(環境)の二極化など、教育業界全体に関する話は少し脇においておきます。

さて、滑り止めの星という俗称がすっかり定着しつつある栄東についてですが、こちらも受験者数が増加しています。

また、私も個人的に注目している大宮開成についても、かなり受験生が伸びてきている印象があります。

立地その他の面も含めると、大宮開成については一定の需要があるようにも思います。

試験日程についても、大宮開成には設定されれているのに栄東はあえてずらしている日程もあるので、このあたり、読み合いせめぎ合いがあるようにも思ってしまいます。

少子化と受験者数の関係性

記事の2ページ目以降の話になっていまいますが、中学受験業界全体の話について言及しているように感じます。

もちろん、少子化に伴って子どもの数は減っています。

ただ、受験を考えている子ども(ご家庭)の数との割合をあわせて「受験比率」として考察しています。

これの値が、最高値に近いという分析もありますね。

コロナ以前は、中堅校以下は生き残り戦略その他含めていろんな議論があったと思います。

ただ、コロナの蔓延に伴って、中学受験業界全体が過熱しているようにも感じます。

それは記事内でも中堅校の復調その他、様々な表現から読み取れると思います。

そんな中学受験業界のトレンドとは

記事の最後の3ページ目にある「午前午後セットの短期決戦が定番化」という見出しにもあるように、昨今、入試日が重なる2/1その他に午後日程を設定する私学が増えていると感じます。

午前中から始まる入試を避けて、チャンスを増やし、自校を受験してもらう戦略だとは思いますが、男子校、女子校ともに数年前は新しかったものの、昨今は定番化しつつあるという分析です。

これについては私自身も思うところがあり、早々に午後入試を設定した学校はある程度成功しているように感じています。

もちろん、入試問題の質の良さその他を含めて学校の良さを出せるかどうかも含まれると思っているのですが、早期に導入した学校にはそこそこの「一日の長」のようなものがあるように思います。

おわりに

私学は良くも悪くも中小企業。

そのため、生徒募集は経営戦略に大きく関わってくる。

その観点から、中学入試の動向については重要だと思っています。

もちろん、出てくるデータだけでは完全に分析することはできず、中高一貫校ならその6年後の実績なども踏まえながら本来なら議論されるべき(?)話題でもあるように感じます。

ただ、その6年後の議論とを関連させた記事は多くないのが現状ですよね。

私学の内部で働く人間からすれば、それこそが自校の教育の成果とも言えるべき内容。

受験生や受験するご家庭から見ても、価値ある6年間を過ごせるかどうかという指標にもなると思っています。

今回の記事は、あくまでも受験したかどうかついて端的に述べた記事になっていると思います。

教員の方は自分や自校の教育にプライドを持ちつつデータを受け止めて改善すべきは謙虚に改善をしていく、受験生にとっては参考データの1つにする、という感じでしょうか。

気になっているのは、右肩下がりだった私学が、自分(自校)はあまり変わっていないのに右肩上がりになった(?)ことで勘違いはしていないかということ。

(これについては自戒の念も含めてですが)

ともあれ、中学受験業界はまだまだ過熱していくのではないでしょうか。

来年度以降も、動向については(死活問題である以上)注目していきたいと思います。

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