【公立校と私学の違い】私立学校への転職のいろは ~初めての転職編~

転職活動

「学校の先生」はどのように採用され、どのような制度のもと雇用されているのかご存知でしょうか。

異業種から学校の先生に転職したいと考えている人、初めて採用試験を受験するという人にとっては、聞き慣れない言葉も多いことと思います。先生と一言で言っても、「教育公務員」である公立校の先生と私学の先生とでは、雇用の形態や給与の基準、採用までのルートも大きく異なるのです。

この記事では、公立校・私学それぞれの

  • 雇用形態の違い
  • 採用試験の違い

を、実体験も含めて紹介していきます。

新卒で教員採用試験に挑戦するという人にも押さえておいてほしい内容をまとめていますので、基本的な知識を押さえておきたい!という人はぜひチェックしてみてください。

転職の鬼
転職の鬼

今回の記事では私も補足していきます

この記事を書いた人
猪狩 はな

【2児ママ× 現役国語科教員×ライター!】
持続可能に「好き」を楽しむ生き方をしたくて転職。
▶国語科(専門は古典文学)
▶私立高校講師←公立中学校フルタイム教員←私立中高一貫校講師
▶未経験からwebライターに挑戦
▶2歳と4歳の男児を育児中
キャリアに悩む人の助けになれるような発信を目指しています。

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公立校・私学の雇用形態の違い

公立校と私学とでは、雇用形態や職種の名称に違いがあります。公立校・私学それぞれの特徴と、押さえておきたいルールをまとめました。

公立校

公立の先生は「地方公務員」です。自治体ごとの教員採用試験を受け、合格した人が就くことができます。教育公務員という扱いになるので、2022年の段階では原則として副業は禁止、残業代は支給されません。

教諭

教員採用試験に合格し、正規雇用されている先生。フルタイム勤務・終身雇用です。自治体ごとに雇用され、各校に配置されます。どの学校に配属になるのかは、選ぶことができません。また、異動があるので、1つの学校や地域でずっと働き続けるということは原則ありません。

臨時的任用教諭

非正規雇用の先生です。自治体の示す登録方法に沿って、名簿への登録を行います。また、教員採用試験を受験した人は、出願書類に「講師登録の可否」欄がある場合があります。「可」で提出した人は、不合格だった場合自動で登録されることになります。

正規採用の先生に欠員が出たり、補充の先生が必要になったりした場合、登録されている人の中から「臨時的任用教諭」に採用されます。

臨時的任用教諭は、正規の先生とほぼ変わらない業務をこなします。部活動の顧問や、校務分掌も任されるということです。待遇や給与面も「教諭」に準じ、ボーナスも発生します。

転職の鬼
転職の鬼

東京都の公立の先生の給与はこちら教育職給与表から確認できます。教諭(正規採用)は2級、臨時的任用教諭は1級になるので収入面で無視できない差があります。

非常勤講師

自治体ごとに「非常勤講師」の募集があります。「教諭」や「臨時的任用教諭」と違い、1コマあたりで給与が決定。長期休暇中や休校中など、授業コマがないときには給与が発生しません

非常勤講師は「授業をすること」が仕事なので、担任業務や部活の顧問、校務分掌の割り振りは基本的にはありません。

私学

専任教諭

公立校における「教諭」と同じ立場の先生です。ほとんどの場合終身雇用で、私学は異動もないので定年までその私学で勤務し続けることになります。福利厚生や各種手当も手厚く、学校によっては公立校よりも年収が高い場合もあります。

公立校との違いの1つには「研修日」があります。多くの私学では土曜日にも授業があり、勤務日扱いになります。その代わりの休みが、1週間のうちのどこか1日に充てられる制度です。土日休みよりも、平日のどこかで1日休みが入ったほうがいいという人にはちょうどいい制度かもしれません。

転職の鬼
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学校によって研修日の曜日を選べる/選べない学校や、教科で輪番制にしている学校も。また、半日(午前休や午後休)の研修日を2日設定している学校もあるようです。後者のパターンで過去の求人票に記載があったのは、大妻共立など。
ちなみに半休2日は中途半端にしか休めず意外にキツかったです‥(経験者)

私の学校では、先生たちは「この曜日!」と抑えている人が多い印象です。

土曜日を研修日にして、わざと土日休みにしている先生もいました!

常勤講師

専任とは異なり、非正規雇用・期限付きで契約する先生です。基本的に1年ごとの契約更新で仕事に従事します。業務内容は、専任教諭とほぼ同じ内容になると考えておくとよいでしょう。学校によっては部活の顧問が免除されたり、授業のコマ数を融通してもらえたりする場合もあります。

また、講師の場合気を付けたいのが「無期転換ルール」です。5年以上同じ学校で勤務する場合、6年目からは無期での契約(専任としての雇用)に切り替えなくてはならないと法律で定められています。

同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期契約労働者(契約社員、アルバイトなど)からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルール

https://muki.mhlw.go.jp/?gclid=EAIaIQobChMIw_mD0Lyu9AIV_cEWBR1W3QEBEAAYASAAEgJaq_D_BwE

このルールを踏まえて、「1年ごとの更新(3回まで)」「3年契約」など5年にかからないように制限を設定し、専任への登用をせずに契約を切れるようにしている学校もあるので注意が必要です。常勤講師からの専任登用を視野に入れている人は、契約の内容を必ず確認してください。

転職の鬼
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根深い雇用問題もあり、訴訟に発展していたりもします。学校によっては常勤講師ではなく、特任教諭や有期専任教諭など様々な呼称があります。労働問題で戦ってくれているこんなアカウントもTwitterでありますよ。情報収集は大切です。

非常勤講師

公立校の非常勤講師と同様、「授業のみ」を行う非正規雇用の先生です。担任も部活も校務分掌も基本的にはないので、授業が始まる前に出勤し、終わったら退勤できます。

副業も可能なので、別業種の仕事や塾の仕事、他の学校での非常勤講師と兼業する人も少なくありません。学校によって給与体系は下記のように異なるため、事前に確認しておきましょう。

①「実際に行った授業のコマ数」に応じて給与が支給される

(臨時休校などがあるとその分収入が減る・長期休みは収入がなくなる)

②週のコマ数から年収を算出→月収に換算して給与が決まる

・長期休暇中で授業がなくても、給料は発生する

・長期休暇中も出勤日に出勤し、授業準備などを行うことで給料が発生する

このほか、各種手当がつく学校もあります。

  • 入試関係の手当(試験の作成・監督・採点など)
  • 長期休暇中の講習業務の手当
  • 待機コマ・空きコマ手当

体験談① 非常勤講師×副業という働き方から見る先生業務

私は現在、私学の非常勤講師として働きつつ、Webライターとしても働く「兼業先生」をしています。先生業もしつつ、大好きな「書くこと」も仕事にできて充実した日々を過ごしています。

そんな私が、公立中学校でのフルタイム教諭としての経験も踏まえて思うのは……学校の先生の業務はあまりにも多岐にわたるということです。

非常勤講師のメリットの1つは「授業のみに集中できること」。裏を返すと、非常勤講師以外の先生はみんな「授業以外の業務」に日々追われているということです。

非常勤講師として働いている私でさえ、「授業だけ」といいつつも、授業に関わる業務だけでも以下のような業務があり、勤務日以外も学校に関わる仕事はしています。

  • 教材研究、授業準備
  • 提出物の指示、回収、チェック
  • 小テストの作成、実施、採点、成績処理
  • 定期テストの作成、実施、採点、成績処理

専門教科に関わることはもちろん、校務分掌、事務作業、生徒指導、部活の指導……ありとあらゆることをこなす先生という職業は、本当にスーパーマン・スーパーウーマンの集まりだなと感じます。

そして先生は、なんでもこなせる真面目な人が多い!だからこそ、自分が学校現場でしたいことはなにか?を見極めて学校選び・働き方選びをするのは本当に重要です……。

部活の指導が大好きで、放課後も土日も関わっていたい!という人、教科指導に力を入れたい!という人、副業・兼業もしたいという人、私のようにまだ子供が小さいというパパさんママさん……。人それそれぞれ「理想の働き方」は違いますよね。

ぜひとも、採用形態・勤務形態も含めての検討をオススメしたいです。

公立校・私学の採用試験の違い

公立校・私学、同じ「先生」という仕事ではありますが、雇用形態が違えば採用の方法も当然違います。公立校の教員採用試験におけるチェックポイント、私学の採用ルート3つをそれぞれご紹介します。

公立校「教員採用試験」チェックポイント

公立校の「教諭」を目指す場合、自治体ごとの教員採用試験を受けることになります。自治体によるところが大きいので、ご自身が希望する都道府県の要綱を必ず見てください。

大きなところでいうと、以下の点に気を付けて確認するとよいでしょう。

採用区分

中学高校一括での採用なのか、中学と高校の採用は別なのかを確認しましょう。自治体によっては小中を一括での採用もあります。一括採用の場合は小中両方・中高両方の免許状が必要になることも。また、「高校希望だったのに中学校の配属になった」という場合もあり得るので、希望の校種がある人は要検討です。

体験談② 私も実は……

私は公立中学校で勤務していましたが、高校での勤務希望でした。志望理由書にも書き、面接での伝えましたが、希望は通らなかった形になります。

それぞれの校種のよさがあり、中学校勤務も楽しかったですが、こだわりがある人はお気をつけください。

受験に必要な条件

各自治体の募集要項に、受験条件や応募に必要な資格が明記されているので確認しましょう。免許状についても、「高校の免許のみでは受けられない」という場合もあるので注意してください。

また、自治体によっては、「複数科目の免許状」を持っていると採用試験で優遇を受けられる場合もあります。例えば、長野県の教員採用試験では「申込資格」に以下のように書かれています。

小学校・中学校・特別支援学校教員選考を受験する者は、複数校種(小・中・特別支援学校)・複数教科等の免許状を有することが望ましいです。

高等学校の「地理歴史」は公民の免許状を、「公民」は地理歴史の免許状を、「書道」は国語の免許状を、「情報」は他教科の免許状をそれぞれ有することが望ましいです。

https://www.pref.nagano.lg.jp/kyoiku/koko/saiyo-nyuushi/joho/kokokyoinsenko05.html

とされ、「加点制度」として5点の加点があることが明記されています。

教員採用試験の日程

現在の仕事は続けながら教員採用試験を受けるという人もいるかと思います。二次試験も含めて、日程は必ずチェック。複数の自治体を受けるという人も、被っていないか見ておきましょう。

試験で問われる内容

  • 1次試験の内容(教養科目・専門科目・小論文……)
  • 2次試験の内容(面接の形態・模擬授業の有無・実技試験の有無……)

に加えて、別の職業から転職するという人、現在は別の学校や自治体で教員をしているという人は「特別選考・免除制度」が使えないか合わせて確認してください。

「社会人経験者枠」「有資格者枠」「教職経験者」などの条件に応じて優遇措置があったり、1次試験全体や一部が免除になったりする可能性があります。

体験談③ 「特別選考を使わない」ほうが合格できた友人の話

これは私の友人の話です。

教員採用試験に落ち、臨採として教員生活がスタートした友人。毎年教員採用試験は受けるのですが、なかなか合格できずにいました。そこで彼が見直したのが、「受験者の枠」でした。前述したように、教員採用試験には「経験者枠」があります。彼は数年その「経験者枠」の優遇を使って一次試験免除、二次試験の面接のみを受験していました。

しかし、実はこの「経験者枠」が、その自治体ではかなり倍率が高いものだったようで……。翌年、あえて免除を使わず一次試験から受けたら合格できたそうです!

その年の倍率や難易度等もあるので一概には言えませんが、リサーチしたうえで自分に合った受験方式を選ぶのは大事だなと感じた出来事でした。

私学採用のルート3つ

私学の先生を目指す場合、募集は「学校ごとに随時」となります。各学校への応募~採用へのルートは、主に以下の3つがあります。

①私学教員適性検査

一部の都道府県私学協会では、私学教員適性検査というものを行っています。これは、私立の教員を目指す人を対象に一律の学力検査・適性検査を行うものです。

試験の結果を私学協会が学校側に公開し、そこから学校が候補者を選んで直接本人に連絡→面接等の選考を行って採用が決まるという流れです。

転職の鬼
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既に私学で勤務している方は注意が必要です。自校の採用活動で私学適性検査を利用している場合、自分が受験してしまうと転職活動をしていることがバレてしまいます!!

例えば東京都(2023年度私学教員適性検査)の場合、以下のように実施されています。

2022(令和4)年8月28日(日)

9:15検査室集合 9:30検査開始 12:10検査終了

[会場]  東京都千代田区内などの私立学校

[受検料] 20,000円(税込)

https://www.shigakukyoin.com/inspection2022_01/

「専門」「教職教養」それぞれ試験を行い、「A B C D」でランク分けされます。国語科についてはさらに「現代文」「古文」「漢文」の分野別でもランクが出される仕組み。国語のなかでも専門分野をアピールしたい人には嬉しいですね。

転職の鬼
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記録がしっかり残るのはメリットもデメリットもあります。下手にCランクやDランクの履歴が残ってしまうくらいならあえて受験せずに、各学校が行う筆記試験に全力を注ぐ方がいい場合も。

試験を受けておけば私学側から連絡をもらえるので、私学を本命で検討している人はまずこの私学教員適正検査を受けておくと便利です。しかし、私学側から連絡を待つということは、当然自分では学校は選べません。「この学校で働きたい」「この地域の学校がいい」というような具体的な希望がある場合は、自分で直接私学に応募することになります。

転職の鬼
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身も蓋もない話になりますが、上位校は自校で作成した筆記試験を課す場合が多いです。それ以外の学校が私学適性検査を受験したかを聞いてくることがある印象です。

かく言う私も、実は適性検査は受けず、公立校の採用試験+直接エントリーのみで新卒採用に臨みました。転職にあたっても、適正検査は受けていません。子どももいるので、自分で勤務地やコマ数、学校のレベル感も選びたい!という思いがあるからです。

②学校に直接応募する

学校のサイトや求人サイトを調べて、学校に直接応募します。履歴書や職務履歴書を送付し、エントリーする形です。教員採用試験や私学教員適性検査と違い、募集期間や〆切が私学によってバラバラなので注意が必要です。

また、私学によって募集が出る教科や人数にばらつきがあります。公立校の教員と違い、私学の場合は「空きが出たら募集をかける」ためです。学校によっては「専任の募集はここ何年も出ていない」という場合もありますし、逆に「非常勤講師を毎年募集している」ということもあります。採用システムも私学ごとに異なるので、「専任の募集は行わず、常勤・非常勤として働き、規定を満たすと専任として登用される」という場合もあります。

転職の鬼
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手間はかかりますが私のオススメは断然この方法です。同じ募集が繰り返される、複数人の募集をしているなど応募の狙い目のタイミングを自分で把握できます。

自分が興味のある私学にピンポイントで応募できるのは大きなメリットではありますが、「その学校が現在自分の教科の、自分の働きたい勤務形態の教員を募集しているのか」というタイミングの問題も大きいので、その点注意は必要でしょう。

本サイト「ホワイト私学への転職を目指す」でも、随時私学の教員募集記事がアップされています!ぜひチェックしてみてください!

体験談④ 実録!私学採用試験

私学の採用試験は、全部で3つ受けたことがあります。

内容としては、以下のような手順でした。

①書類審査(指定された書類を事前に送付→合否の連絡が来る)

②学校へ行き、採用試験を受ける

・学科試験

自分の専門科目(私の場合は国語)。「古文」の教員募集に応募したときは古文のみのテストでした。

・面接試験

学校長、主任、教科主任+α、くらいの規模感で面接。

志望した理由、自身の教育観などを中心に問われました。また、実際に勤務するにあたっての希望(科目やコマ数、何時間目に入れてほしいなど)もここで聞き取ってもらいました。

採用試験に関する「国語科」の詳しい話を知りたい方はこちらの記事もご参照ください!

③私学就職・転職を対象にした派遣会社に登録

私学を紹介してくれる派遣会社に登録をして、条件にあった学校を紹介・仲介してもらうという手段もあります。この場合、間に派遣会社が入るので、「事前にこちらの希望や人柄を学校側に伝えておいてもらえる」というメリットがあります。学校側に直接聞きにくいことを質問したりできるという点も、派遣会社を利用する強みです。

体験談⑤ 派遣会社の学校紹介を利用した話

私も実際に登録していたので、体験談をご紹介します。利用したのは登録と紹介までで、実際に試験を受けてはいないのですが、流れは以下のようなものでした。

①求人サイトから、派遣会社に連絡する

②履歴書・教員免許状など指定された書類を用意して面接。

→今までの経歴や、勤務場所や日数・コマ数などの希望を伝える。

③派遣会社から学校を紹介される

→求人を見て、希望する学校がある場合はその旨伝える

④派遣会社が学校に履歴書等を送り、こちらの希望、人柄などを伝える

⑤学校側がぜひ会ってみたいということであれば、面接のセッティング

このときは、「ぜひ来てほしいとのことで、試験なし・面接のみでいい」と先方が言ってくれているとの連絡をもらえました。しかし、希望の持ちコマ数と先方の希望コマ数が一致せず、面接する前にお断りさせていただく流れに。お断りするのにも勇気がいるので、仲介の方に伝えていただけて助かりました。

初めて私学転職に挑戦するという人や、学校に直接書類を送るのは勇気がいるという人は派遣会社の利用もオススメです。希望に沿った学校を選んで紹介してくれるというのは心強いですよ。

初転職の人も初就活の人も、まずは情報収集から

雇用形態や給与面は、勤務先を考える上でとても大切な部分ですよね。この記事で学校現場に関する基本情報を押さえて、採用情報を探す際の参考にしてみてください。自分のキャリアプランにあった学校に出会えますよう、お祈りしています!

この記事を書いた人
猪狩 はな

【2児ママ× 現役国語科教員×ライター!】
持続可能に「好き」を楽しむ生き方をしたくて転職。
▶国語科(専門は古典文学)
▶私立高校講師←公立中学校フルタイム教員←私立中高一貫校講師
▶未経験からwebライターに挑戦
▶2歳と4歳の男児を育児中
キャリアに悩む人の助けになれるような発信を目指しています。

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