学校を個々に分析する第8回は東京都にある男子校の巣鴨中学校・高等学校です。
今までに以下の学校の記事を書いてきました。
- 【神奈川】浅野中学校・高等学校を外部情報から徹底分析
- 【埼玉】狭山ヶ丘高等学校・付属中学校を外部情報から徹底分析
- 【千葉】専修大学松戸中学校・高等学校を外部情報から徹底分析
- 【東京】吉祥女子中学校・高等学校を外部情報から徹底分析
- 【千葉】成田高等学校・付属中学校を外部情報から徹底分析
- 【埼玉】大宮開成中学・高等学校を外部情報から徹底分析
- 【神奈川】栄光学園中学高等学校を外部情報から徹底分析
東京都の記事が少なく、前回が女子校の吉祥女子中学校・高等学校だったので、今回はバランスをとるために巣鴨中学校・高等学校に白羽の矢を立てました。
第1部は学校の概要について、各方面から集めてきた情報をまとめつつ分析していきます。学校行事も関連させて自分自身が採用された場合にどういうことに注意しなければいけないか(もちろん実際に採用されてみなければわからないことも多いですが)考察していきます。
第2部では学校の学力レベルから考えていきます。入り口や出口の部分に関連する入試はもちろんのこと、カリキュラムの特色、単位数の設定から教員側にどの程度の知識レベルと指導力が要求されるのか考察していきます。
第3部では学校ホームページから読み取れる情報と口コミサイトの情報で気になる点をまとめていきます。担任として働く場合に気になることも考察していきます。
第4部では過去の採用情報から遡って、採用情報の傾向や日程の傾向、選考内容についてまとめていきます。
前回の栄光学園中学校・高等学校が学校ホームページよりもfacebookサイトを参照したほうが情報が得られましたが、今回の巣鴨中学校・高等学校も学校ホームページよりも掲載されているデジタルパンフレットのほうが詳しく情報が得られる印象です。
あとは学校ホームページ内の「巣鴨の今」を掘っていくと、同様に学校の様子が見えてくると思います。
巣鴨中学校・高等学校の学校概要
学校法人巣鴨学園
系列校などは特にありません。
wikipediaには以下のような記載があります。
社会学者であり教育者である遠藤隆吉が私財を投じて1910年(明治43年)5月、私塾「巣園学舎」を設立。「硬教育」による英才教育を唱え、文武の鍛錬と人格陶冶を実践する教育の場とした。1922年(大正11年)4月、旧制巣鴨中学校設立。硬教育による品性の陶冶、学問労働の一致、長幼の序を以て校是とする。2013年に解体されるまで本学園を物語っていた学園本館はこの時に建設されたものである。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%A3%E9%B4%A8%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E3%83%BB%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1
今回はwikipedeaからの引用をさせていただきましたが、この学校、実は学校ホームページ上に「沿革」のようなものが見当たらないんですよね。
詳しく学校ホームページを見ていくと、受験生向けに公開されているデジタルパンフレットの25ページあたりに沿革が紹介されています。
創立は1922年で、この年に旧制巣鴨中学校を創立しています。
1924年には巣鴨商業学校を併設しているようです。
また、1928年には巣鴨高等商業学校を併置しているようですが、なんとこれが戦後千葉商科大学になっているようです。
なお、1999年から2000年にかけて、巣鴨商業高等学校の生徒募集を停止していますが、逆に言えばここまで商業学校を維持していたことになります。
巣鴨中学校・高等学校の教育理念
硬教育というキーワードがこの学校にはあるように感じます。
Googleで硬教育を検索すると、かなりの件数がヒットするのですが、最初に出てくるコトバンクのブリタニカ国際大百科事典の表現を引用すると以下の通りになるようです。
児童の興味や楽しみよりも,その努力や苦心に訴えて教育の効果をあげようとする教育方針。鍛練主義,意志陶冶などと同義語。 J.ロックがその代表的論者。
https://kotobank.jp/word/%E7%A1%AC%E6%95%99%E8%82%B2-61734
英訳はhard pedagogicsとなっていますが、pedagogics=教育学みたいな意味なので、ほとんど直訳のように感じます。
海外まで視野に入れれば、それこそジョン・ロックの教育論に近いものもあるようです(ジョン・ロックと硬教育の組み合わせではヒットしませんが、鍛錬主義との組み合わせだと一定の検索結果が出てきます)。
このあたりが、巣鴨中学校・高等学校が硬派なイメージを持たれる所以なのかもしれませんね。
硬教育の検索結果を掘っていくと、大半が今回の巣鴨中学校・高等学校とセットで表示されています。
なお、現在の巣鴨中学校・高等学校は「努力主義」を掲げているようです。
口コミなどを見ても在校生・保護者ともに理不尽なものが見られないので、鍛錬主義のような厳しさほどでもないように感じます。
著名な卒業生
あくまで参考程度ですが、卒業生に医師で小説家の知念実希人氏がいるようです。
また、古くは渥美清が在籍していたという話もあるようです。
その他、各方面で卒業生は活躍しているようです(DEENのキーボードの山根公路氏もどうやら巣鴨高等学校卒業のようですね)。
学校教育から見る巣鴨中学校・高等学校(学校生活編)
学校行事
1学期から夏休みにかけて
4月になんと中学3年生と高校2年生の修学旅行が予定されています。
タイミングがいつなのかは定かではありませんが、中学3年生にとっては高校受験がないからこそのこの時期なのかもしれません。
高校2年生にとっても、受験に向けて意識を高めていく上ではいい時期なのかもしれませんね。
後のカリキュラムの項目でも触れますが、高校2年生で文系・理系に分かれるようです。
新クラスが始動した後の親睦を深めるという意味合いもあるのかもしれません。
5月には有名な大菩薩峠超え競歩大会が実施されます。
深夜2時から東京の奥多摩または山梨の塩山から大菩薩峠を越えるイベントで、全校生徒が参加するようです。
歩く距離は中学1年生でも20kmで高校3年生は35km弱となっているようです。
なかなか大掛かりな学校行事だと思います。
また、生徒総会や球技大会(高3)も行われるようです。
6月には合唱コンクール(予選)があります。
予選の後には本選もあるわけで、こちらは9月に行われるようです。
合唱コンクールを年間2回行うのは珍しいと思います。
7月には巣園流水泳学校が行われるようです。
場所は千葉県の館山のようで、古くから日本に伝わる日本泳法を学ぶ場のようです。
日程は3泊4日ということで、それなりの期間の宿泊を伴う行事です。
他校の臨海学校に該当する感じでしょうか。
中学1年生が必修で、それ以上の学年は自由参加のようです。
8月には勉強合宿があります。
場所は長野県の蓼科高原ということで、中学生全員と高校から入学した高校1年生が勉強合宿に参加するようです。
検索したらGoogle mapで発見しました。
以前紹介した吉祥女子中学校・高等学校も富士吉田に施設をもっていたりするので、都内の私立学校が別の地域に施設を所有するのは意外とある話なのかもしれません。
また、後述しますが、巣鴨サマースクールやロックハンプトンウィンタースクールなど国際教育系の行事も設定されています(全員参加ではないのでここでは割愛)。
2学期から冬休みにかけて
9月には文化祭・体育祭が行われるようです。
学校ホームページで受験生の方向けの項目で見かけたのですが、2022年度の体育祭は新しい国立競技場を使用したようです。
また、先述の合唱コンクール(本選)も開催されます。
10月には武道大会が開催されるようです。
学校ホームページには校内クラス対抗という表記があります。
今まで紹介してきた学校の中ではあまり見かけなかった行事かもしれません。
11月にはマラソン大会が行われるようです。
場所は森林公園(埼玉県?)で行われるという記載がありますが、口コミサイトでは「夢の島の競技場を使った」という表記も見かけます。
確かに、学校ホームページでは競技場という感じではない写真が掲載されていますが、デジタルパンフレットでは陸上競技場のような場所の写真が掲載されています。
このあたり、同期がとれていないのかもしれません。
12月には美術書道作品展・茶道教室(高1)・スキー教室が設定されています。
芸術関連の行事は芸術鑑賞教室のようなものを設定する学校が多いと思っているのですが、巣鴨中学校・高等学校の場合、会場も東京芸術劇場を使っての展示会のようなものが行われている様子が伝わってきます。
少し本格的な感じでしょうか。
3学期から春休みにかけて
1月には全校書き初め大会、早朝寒稽古、百人一首歌留多大会が行われるようです。
書き初め大会や歌留多大会は、どこかの学校で何らかの形でやっている場合もあると思います。
特徴的なのはやはり早朝寒稽古でしょうか。
剣道・柔道・駆け足(高校生のみ)からなるようで、中1から高2までの参加率はなんと90%以上のようです。
2月には中1~高2までの武道大会と球技大会が行われるようです。
高3と時期をわけて球技大会を行ったのは、この時期だとさすがに大学受験に差し支えるという配慮からでしょうか。
3月にはアカデミック・フェスティバルとTokyo Spring Schoolが行われるようです。
アカデミック・フェスティバルについては、学校ホームページにも他の媒体にも特に何をしているのか記事が乏しい印象です。
Google検索でアカデミックフェスティバルを検索すると九州大学のものが多くヒットします。
そのため、「アカデミック」「フェスティバル」「巣鴨」で検索することで絞り込むことができました。
折り紙研究会(なかなかすごそう)の活動なんかがヒットしますが、いまいち伝わってこない印象です。
Tokyo Spring Schoolについては、かろうじて学校のデジタルパンフレットに記載がありました。
異なる校風を持つ日本各地の優れた私学の生徒たちも参加します。Critical thinking, collaboration, communicarion and creativityの4つの能力の育成を目標として、50分×5時間のレッスンに加え、Team building activityとSpecial sessionを6日間のスケジュールで実施します。レッスンとアクティビティに講師はオックスフォード・ケンブリッジ・ハーバード大を卒業し、多彩な分野の第一線で活躍中の人格・教養に優れたイギリス人・アメリカ人の方々です。
https://www.tokyoshigaku.com/pamphlet/data/114303/index.html#page=9
とあります。
少し判断に戸惑うところはあるのですが、後述の国際教育の項目で詳しく説明します。
分析
正直な話、学校行事がめちゃくちゃ多いと感じます。
できる限り穏便に、仕事を抱え込みたくない方にとってはかなり辛い学校になるかもしれません。
ただし、この学校で様々な行事に携わるということは、教員としての力もかなり鍛えられると思います。
多いと感じる学校行事を学校独自のものと一般的なものに大別して考えます。
学校独自の行事としては、5月の大菩薩峠超え競歩大会、7月の巣園流水泳学校、1月の早朝寒稽古、3月のアカデミック・フェスティバル、各種国際教育系行事(※後述)が挙げられます。
おそらく学校独自の運営スタイルがあり、やり方も決まっているのだとは思いますが、新しく採用される側からすると未知の学校行事のように感じてしまうかもしれません。
一方、一般的な学校行事としても、4月の修学旅行、6月と9月の合唱コンクール、8月の勉強合宿、9月の文化祭・体育祭、10月と2月の武道大会、11月のマラソン大会、12月の美術書道作品展、1月の書き初め大会と百人一首歌留多大会など、多岐に亘ります。
これらのうち、どれかはやっているけどどれかはやっていないという私立学校が多いと思いますが、ここまで満遍なく全ての行事を行っている学校も珍しいように思います。
もしかすると、内側で働いている先生方はなかなか大変かもしれません。
一方で、ここまで多彩な経験をさせてもらえる可能性があるという観点からは、子どもを通わせたいと思わせるような魅力があるかもしれません。
特徴的なのは英語教育・国際教育か
今までの記事では、全校生徒を対象としていない行事がほとんどのためスルーしてきた短期留学等の制度についてですが、巣鴨中学校・高等学校については、充実度合いが他とは異なるように感じました。
イートン校サマースクール
この行事については、2018年に皇室の愛子さまも参加されています(リンク先は文春オンラインの記事です)。
イギリスの伝統校であるイートン・カレッジで、勉強と寮生活を体験できる行事のようです。
巣鴨中学校・高等学校は、日本の私立中高として初めての提携校のようで、毎年40人程度が参加できるようです。
対象者は中3~高2という設定になっているようです。
巣鴨サマースクール
上記イートン校サマースクールと同様の体験を、できるだけ多くの生徒に味わってもらいたいという思いから、中2~高1の希望者を対象に行われているという巣鴨サマースクール。
実施されるのは6日間で、長野県白樺高原の郊外施設で合宿をしながら学ぶとのことです。
長野県白樺高原の校外施設というのは、上記の蓼科校舎のことだと推察されます(白樺高原が長野県北佐久郡などのため)。
オックスフォード大、ケンブリッジ大という学歴に加えて、セミプロの歌手でもある外交官などの多種多様な経歴をもつ講師によるプログラムということです。
Tokyo Spring School
既に学校行事の3月の項目でも引用しました。
冷静に考えると、上記巣鴨サマースクールでもオックスフォード大やケンブリッジ大という表記があるので招いている講師の方は同じなのかもしれません(ハーバード大の記載はありませんが)。
気になるのは「日本各地の優れた私学の生徒たちも参加します」という表現。
こちらは学内で完結する行事ではなく、複数の学校が参加する行事なのかもしれません。
Google検索で「Tokyo spring school」と検索すると絞り込むことはできませんでしたが、「Tokyo spring school」「巣鴨」で検索すると以下のような記事が出てきました。
先進校レポート-グローバルになると”楽しい”という想いをもつ、世界を舞台に活躍できる人材を育む(G-Edu記事)
どうやら2020年度は新型コロナウイルスにより中止、2021年度(記事内2年目)も中止になっていたようです。
Double Helix
学校のデジタルパンフレットにはなかったものの、上記記事によって別にDouble Helixという国際教育の行事があることが判明しました。
こちら「Double Helix」でGoogle検索をかけると、ブランドなどがヒットしますが、4番目に千葉県御三家の市川学園中学校・高等学校のページがヒットします(リンク先参照)。
いわく、他校と協働し高次元の思考力を構築とのことです。
この学校ページでも、参加校として巣鴨学園[主催]、鷗友学園女子、駒場東邦、豊島岡女子学園、広尾学園(以上、東京都)と洗足学園(神奈川県)、南山女子部(愛知県)が紹介されています。
デジタルパンフレットに記載こそないものの、学校ホームページでは国際教育のところに掲載されていました。
なんなら全て英語で詳細が記載されているページも準備されています。
ターム留学
学校のデジタルパンフレットには、高1の三学期をまるまる現地の学校で学ぶとして紹介されています。
留学先としては、カナダ、オーストラリア、イギリスから選択できるようです。
短期留学を設定している学校はあると想いますが、行き先の候補が3箇所も準備されているのは珍しいように思います。
ロックハンプトン・ウィンタースクール
Rockhanmpton Grammar Schoolにて、3週間程度過ごすプログラムのようです。
デジタルパンフレットにはRGS(Rockhanmpton Grammar School)と本校の教員で作り上げた完全オリジナルプログラムという記載があります。
なお、Wikipediaにはオーストラリア中学高校体験入学という項目もあり、民間旅行会社による留学プログラムという記載がありますが、別途何かあるのでしょうか。
上記ターム留学のオーストラリアの行き先としてもこのRockhanmpton Grammar Schoolが挙げられているので、このあたりの整合性がとれていないことが少し気になります。
オンライン英会話レッスン
コミュニケーションの授業(中1~中3)を対象に行い、中2~高1では希望者を対象に放課後に実施もしているようです(デジタルパンフレットより)。
実は先日、個人的にオンライン英会話レッスンも試してみましたが、かなり質が向上しているのを感じました。
これが日常の授業の中で取り入れられているとすると、かなり凄いなぁとも感じてしまいます。
施設・設備
実は学校ホームページに施設・設備のページがありません。
本記事作成にあたって参考にしたのはデジタルパンフレットです。
- 人工芝グラウンド
- 100m直線走路
- テニスコート
- 講堂
- 屋上テニスコート+投球練習場
- ギムナシオン(体育館)
- カフェテリア(食堂)
- 情報演習室
- 音楽室
- 図書館
- 実験室(物理・化学・生物・地学)
- 茶室
- 剣道場
- 柔道場
都内に位置する学校としては、かなり充実した設備のように思います。
もっとも、屋上テニスコート+投球練習場など、兼ねる形での活用もあるので、上手く工夫して設置しているというのが適切かもしれません。
部活動
学校ホームページで紹介されています。
文化部
- 囲碁・将棋部
- 英語部(ESS)
- 折り紙研究会
- 科学技術部
- 化学部
- 合唱部
- 歌留多部
- クイズ研究会
- 茶道部
- 書道部
- 写真部
- 社会同好会
- JRC(青少年赤十字)同好会
- 吹奏楽部
- 数学同好会
- 生物部
- 地学部
- 鉄道研究会
- 美術部
- 物理部
一通り、基本的なものが揃っている印象です。
科学技術部というのが少し特徴的でしょうか。
運動部
- 合気道部
- 剣道部
- 山岳部
- サッカー部
- 柔道部
- スキー部
- 水泳部
- 卓球部
- ソフトテニス部
- 硬式テニス部
- バスケットボール部
- バドミントン部
- バレーボール部
- ハンドボール部
- 陸上競技部
- 軟式野球部
- 硬式野球部
こちらもやはり一通りのものが揃っている印象です。
剣道部のホームページでは、関東大会出場というような記述も見かけます。
学校教育から見る巣鴨中学校・高等学校(学習編)
巣鴨中学校・高等学校のコース設定
中堅校が設定するようなコース編成(特進選抜とか進学コースなど)はありません。
特徴的なのは中学3年生と高校1年生に設置されている数学クラスでしょうか。
デジタルパンフレットには「数学の成績により選抜クラスを編成。選抜クラスは学期ごとに入れ替えを行う」という記載があります。
これは、毎学期クラス替えをしているということでしょうか。
傍から見ると、塾や予備校が短期間でクラス替えを行うのと似ているような気もしますが、教育効果はどれくらいあるのでしょうか。
もっとも、定期考査ごとの習熟度編成を入れ替えるような学校は多くあるので似たような感じかもしれません。
ただ、気になるのはデジタルパンフレットにもwikipideaにも、クラス編成の記述になっていること。
担任の先生が年度内に変更するような本格的なクラス替えなのかもしれませんね(習熟度クラスのクラス替えだと流石に担任までは変わらない)。
各教科について
特徴的なのは、高校入学組が高1時に合計36単位の設定がなされているということ(デジタルパンフレットより)。
また、高校2年生以降の文理選択では、文系ではなく文数系という表記がされていることにも注目です。
昨今、一橋大学がデータサイエンス学部を新設したり、早稲田大学が共通テスト利用型の入試でも数学を課すなど、文系でも数学が必要だという認識が高まっていますが、このことを古くから予見していたのかもしれませんね。
国語
設定されている単位数は学年順に5-5-5-6(7)ー7or6-6or4
カッコの中の数字は高校入学組の時間数で、高校2年生と高校3年生はそれぞれ文系と理系の表記になっています。
気になるのは中学2年生と中学3年生で、早くも漢文として1時間設定していること。
また、中学3年生では古文の授業を2時間設定しています。
中学1年生と中学2年生では国語Aと国語Bという表記になっています。
数学
設定されている単位数は学年順に7-6-7-7(8)-5or7-4or6となっています。
やはりカッコの中の数字は高校入学組の時間数で、高2と高3の表記は文系と理系のものになっています。
これで高校入学組は国語と数学が1時間ずつ中学組(内部生)と差があることがわかります。
やはり気になるのは、中学1年生と2年生で代数と幾何に分けて授業を設定していること。
その単位数も他校と比較すると少し多いように感じます。
中学3年生以降は数学αと数学βという名称に変わるようです。
社会
設定されている単位数は学年順に4-4-4-4-7or4-10or4と想定されます。
想定されるという書き方になって理由は、選択科目の兼ね合いがあるためです。
また、中学段階から専門科目に分けた単位設定がなされているようです。
中学1年生では日本史と地理を各2時間、中学2年生では日本史と世界史を各2時間、中学3年生では現代社会と地理を各2時間、高校1年生では地理と世界史を各2時間行うようです。
高校2年生になると、文系は日本史3時間、世界史2時間、政経2時間を学習し、理系は日本史と政経を各2時間学習するようです。
高校3年生では文系は世界史・日本史・地理の中から2つをそれぞれ5時間ずつ学習するように思われます。
選択科目の組み合わせが明記されていなくてわかりにくいのですが、1週間が34時間と想定されると社会から2科目選択するものだと思われます。
高校3年生の理系では、日本史・地理・倫理&政治経済のうち1科目を選択するようです。
気になるのは日本史と地理が4時間設定になっているにも関わらず、倫理・政治経済が5時間設定になっていることでしょうか(誤植?)
理科
設定されている単位数は学年順に4-4-4-4-4or6-6or10と想定されます。
文系・理系で社会と理科が必ずしも裏返したような単位設定でないことは、国語と数学との兼ね合いがあると考えられます。
やはり特徴的なのは、中学の段階から科目特化で授業を行う点でしょうか。
中1では化学と生物、中2では物理と地学、中3では生物と地学、高1では物理と化学を各2時間ずつ行うようです。
中1&中2と中3&高1で科目の組み合わせを変えつつ2周しているのは興味深いところです。
高校2年生では文系が生物と化学を各2時間行い、理系は物理と化学を各3時間行うようです。
科目がそれぞれ指定されていて、文系で物理や地学を選択できる余地はなさそうです。
また、理系でも生物を選択する余地はなさそうで、ひとまずこれらをやってみようということになっているのでしょうか。
高校3年生では、文系は物理・化学・生物・地学から自由に2科目を各2時間選択できるような形式だと想定されます。
同様に理系の高校3年生も、物理・化学・生物から自由に2科目を各5時間選択できるような形式だと想定されます。
英語
設定されている単位数は学年順に6-6-7-6-6-6
文系、理系ともに単位数に差はないようです。
中学の段階からコミュニケーションの時間がどの学年でも1時間ずつ確保されています。
これは上述のオンライン英会話レッスンのものだと想定されます。
巣鴨中学校・高等学校の入試と偏差値
中学入試
試験日程は2/1午前・2/1午後(算数選抜)・2/2・2/4の3日間4方式。
定員は2/1日午前が80名、2/1午後(算数選抜)が20名、2/2が100名、2/4が40名となっています。
四谷大塚に掲載されている80偏差値では、2/1午前が55、2/1午後(算数選抜)が63、2/2が58、2/4も58となっています。
同様に50偏差値では2/1午前が51、2/1午後(算数選抜)が60、2/2が54、2/4が54となっています。
近隣にある学校で比較されるのは本郷中学校・高等学校でしょうか。こちらはもう5ポイントほど偏差値が上という判定になっています。
試験科目と配点および時間は以下の通りとなっています。
算数(50分・100点)
国語(50分・100点)
理科(30分・50点)
社会(30分・50点)
です。
なお、算数選抜については、算数のみ60分100点となっています。
国語と算数に重点をおきつつ、国語と数学および理科と社会の間に差を設けないタイプの入試方式です。
出願数や倍率などの入試データは以下の通りになります。
出願者数 | 実受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 | |
2023 2/1午前 | 309 | 281 | 98 | 2.9 |
2023 2/1午後 | 606 | 556 | 272 | 2.0 |
2023 2/2 | 588 | 420 | 201 | 2.1 |
2023 2/4 | 367 | 242 | 66 | 3.7 |
2022 2/1午前 | 309 | 291 | 105 | 2.8 |
2022 2/1午後 | 591 | 561 | 249 | 2.3 |
2022 2/2 | 485 | 357 | 167 | 2.1 |
2022 2/4 | 342 | 224 | 62 | 3.6 |
倍率が2倍を切ることなく、3倍に近い日程もあります。
決して生徒募集に苦労しているというわけではなさそうです。
高校入試
試験日は2/12の1回のみ。ただし、受験教科数は5教科型と3教科型を選択できるようです。
多くの私立学校が高校からの募集を停止する中で、巣鴨高校は入試を続けています。
5教科型と3教科型で合わせて70名の募集ということですが、そもそも科目数に選択肢を設定しているのも珍しいかもしれません。
なお、学校ホームページには以下のようにあります。
合格判定にあたっては、定員の約80%を5科目受験者の5科目合計点の上位から合格とします。その上で、定員の約20%を3科目受験者および5科目合計点で合格としなかった受験者の、3科目合計点の上位から合格とします。
https://www.sugamo.ed.jp/entrance_student/
これを読む限り、5教科型のほうが有利になるイメージです。
偏差値は72。
高校としては都内でも屈指の高偏差値になっています。
試験時間と配点は以下の通りです。
英語(60分・100点 ※リスニング含む)
国語(60分・100点)
数学(60分・100点)
理科(45分・70点)
社会(45分・70点)
3教科が60分で100点満点、理科と社会は45分で70点となっています。
科目の軽重については、学校側が思うところがあるのでしょう。
合格実績から見る巣鴨中学校・高等学校
東京大学や京都大学を含めて一橋大学、東京工業大学、東京医科歯科大学などにも合格者が出ています。
これらの国立大学の合格者数は15名前後でしょうか。
2019年については、東京大学が21名合格しており、その他の大学と合わせると30名前後になってきます。
少し右肩下がりの傾向にあるのかもしれません。
ただ、その他の旧帝大や国立大学への合滑車数を含めると更に合格者数は増えてきます。
早慶は早稲田も慶應も40人程度となっています。
また、合格実績の後半に各種医学部医学科と思われる合格実績が並んでいます。
慈恵会医科大学、順天堂大学、日本医科大学、昭和大学、東京医科大学、杏林大学、北里大学、埼玉医科大学、東邦大学、聖マリアンナ医科大学、岩手医科大学、東北医科薬科大学、東海大学、帝京大学、金沢医科大学など多岐に亘る大学の合格者数が多数並んでいます。
どの大学も、合格者数が1とか2とか、空白混じりとかではなく、安定して5人程度出し続けていることでしょうか。
医学部に強いというのもあながち間違いではないのかもしれません。
東大京大などの旧帝大だけの合格者数だけでは推し量れない学校の実力があるようにも感じます。
ホームページの作り込み方から見る巣鴨中学校・高等学校
学校ホームページはトップページにダイナミックな動画が埋め込まれているタイプです。
恐らく、流行のドローンを駆使した空撮によるものだと思います。
動画は生徒の授業風景や実験風景、各種施設(図書館やLL教室など)もあって生徒の表情も豊かです。
コンテンツの種類に関しては、基本的な項目が一部不足しているようにも感じます。
具体的には、冒頭でも述べた学校の沿革や教育理念の部分が見当たりません(デジタルパンフレットにはありますが)。
また、デジタルパンフレットのほうが情報が新しいと思われる(例えばマラソン大会の会場が陸上競技場になっている)など、同期が取れていないものもありそうです。
一方で、You Tubeチャンネルなどの新しい媒体を活用した学校紹介も充実しており、決して情報発信をケチっているとか、渋っている感じは受けません。
もう少し基本情報も大切にすると、魅力も一層伝わるように思います。
巣鴨中学校・高等学校の口コミ
中学校、高校ともに口コミの評価は上々。
気になるのは生徒ではなく、一部の保護者の点数が中間評価ということくらいでしょうか。
中堅校にありがちな、生徒が内部事情に文句を言うタイプと投稿は見受けられません。
逆に、高校生(恐らく高校から入学した生徒)が「1年通ってほぼ文句がない。これって。。。」と★5の投稿をしています。
様々な投稿を見ていて感じるのは「意外に良かった」というタイプのもの。
絶対的に魅力に感じて第一志望という感じよりは、住めば都というタイプの学校なのかもしれません。
逆に、保護者の中間評価の書き込みのほうが、本当にそうなのかと感じる部分もあったりするような気もします。
巣鴨中学校・高等学校の採用状況
2020年度
最初は5月時点で国語、数学、理科、英語の4教科で教員の募集があったようです(待遇は不明)。
理科は複数の科目で募集されていた記録もあります。
9月時点では理科(物理・化学)と社会(日本史)の非常勤講師の募集が10/7応募締め切りで行われていたようです。
このことから、5月の理科の募集も物理と化学であったのではないかと想像されます。
1月時点で、社会(日本史)の非常勤講師を2/13応募締め切りで募集していました。
2021年度
5/30時点で以下の募集が行われていました。
◆5/25付掲載の社会(日本史・歴史)の専任教諭・非常勤講師@6月30日応募締切 |
◆5/25付掲載の理科(物理・化学)の専任教諭@6月30日応募締切 |
◆5/25付掲載の理科(物理・化学・地学)の非常勤講師@6月30日応募締切 |
また、7/18時点では以下の募集が行われていました。
◆7/7付掲載の社会(地理1名)の非常勤講師@8月14日応募締切 |
12/5では下記の募集がありました。
◆11/29付掲載の国語の非常勤講師1~2名@12月18日応募締切 |
2022年度
5/22では以下の募集があったようです。
◆5/16付掲載の国語(漢文)の非常勤講師若干名@6月30日応募締切
◆5/16付掲載の数学の専任教諭1名@6月30日応募締切
◆5/16付掲載の理科(物理)の専任教諭1名@6月30日応募締切
◆5/16付掲載の理科の非常勤講師若干名@6月30日応募締切
10/10→10/23→11/11の求人の流れは以下の通り
◆10/6付掲載の理科(物理・化学・生物)の非常勤講師各1名@11月19日応募締切
(10/23追記)
◆10/17付掲載の国語の非常勤講師1名@11月30日応募締切
(11/11追記)
◆11/9付掲載の数学の専任教諭・非常勤講師1名@12月3日応募締切
分析
基本的には春夏採用で専任教諭を確保し、年度の後半では非常勤講師の募集にシフトしています。
2022~2022年度にかけては、理科(物理)の募集が継続して出ていますが、立て続けに退職者が出ているのでしょうか。それとも、学校側の基準を満たす人物が現れないのでしょうか。
国語や数学などの教科もちょこちょこ募集は出ていますが、そこまで大掛かりな募集は出ていないため、基本的な人事構成は既に学校の内部で固まっているような印象です(複数名の募集があったのも、2021年度の国語の非常勤講師の時だけですし)。
物理の募集についてはどちらの可能性も考えられそうです。
立地条件から見る巣鴨中学校・高等学校
所在地は東京都豊島区上池袋1丁目21−1
最寄り駅は複数あるようです。
- JR山手線・埼京線・湘南新宿ラインおよび地下鉄丸ノ内線・有楽町線・副都心線および西武池袋線および東武東上線の池袋駅からは徒歩15分
- JR山手線の大塚駅からは徒歩12分ほど
- 東武東上線北池袋駅からは徒歩15分ほど
- JR埼京線板橋駅からは徒歩15分ほど
- 都営地下鉄三田線の西巣鴨駅からは徒歩20分ほど
- 都電荒川線(東京さくらトラム)巣鴨新田駅からは徒歩8分ほど
となっているようです。
どの駅からも満遍なく歩くことを余儀なくされそうな立地ですが、何よりも最寄り駅の1つに池袋駅があるのが好立地でしょう。
これにより埼玉県の各地域からの通学も見込めますし、神奈川県方面からの通学も見込めます。
地下鉄も便利な路線が乗り入れているので都内からのアクセスも悪くないはずです。
山手線の内側にこそありませんが、基本的には神立地だと思います。
通学にしても通勤にしても、利便性は高そうです。
コメント