東京新聞というメディアやその姿勢および記者について思うところがある方もいらっしゃると思います。
今回はそういう観点は抜きにして、事実にのみに着目して読んでいただければと思います。
元記事はこちら
https://www.tokyo-np.co.jp/article/263027
入試は公平性が大切
私立学校に勤務し、自校の入試問題の作成に携わるようになって私自身もかなりの年月が経過しました。
入学試験を作成する際の難易度設定や、作問時だけでなく入学試験当日の公平性の担保など、気を遣わなければいけないことは多岐に亘ります。
そんな中で、東京都の公立高校向けの英語のスピーキングテストの報道を見ていると違和感しかありませんでした。
運営しているベネッセという会社に対する思いなどは関係ありません。もちろん過去にいろいろある会社だというのはありますが。
アルバイトによる試験監督や他人の解答が聞こえるなどのハード面への不公平さもありますが、内容面でもベネッセが実施している別の英語の検定試験(GTEC)に似ているという指摘もありました。
事業者の変更でブリティッシュ・カウンシルに
そんな東京都公立高校入試のスピーキングテストですが、ベネッセとの契約が2023年度末までとのことで、新たな事業者はブリティッシュ・カウンシルになったということです。
2023年の6/9まで授業者を募っていたようですが、応募があったのはこのブリティッシュ・カウンシルのみだったようです。
このブリティッシュ・カウンシルという組織名称を聞いてもピンとこない人のほうが多いと思いますが、1934年に設立された英国の非営利組織で、IELTSを運営しています。
試験の名称を聞いてピンときた人もいらっしゃると思いますが、昨今の私立学校の英語の求人票の応募要件の英語資格の中に記載されることが増えてきている資格です。
IELTS7.0以上、というような書かれ方がされています。
他にも、東京外国語大学と共同開発した英語スピーキングテストは当該大学の入試にも活用されています。
ある意味では一日の長があったりするのかもしれません。
事業者が変わったことにより制度そのものが改善していけばいいな、とは思います。
一方で、このブリティッシュ・カウンシルも俗に言う「ババを引いた」ような状況なのかもしれませんが・・(これは邪推)
なんでこのようなことを思ってしまったのかというと、応募した事業者が1つというところが少し気になっています。
公立不信で私学へ子どもが流れていく
公立校に対する不信感が募れば募るほど、私立学校という別ルートが存在するのが首都東京だと思います。
少子化が叫ばれている中で、中学受験をする人数が増加傾向にあるのも細かいことの積み重ねによるものかもしれません。
今回、東京都の公立高校の入試制度についての記事でしたが、取り上げたのにはこういう事情があります。
教育は国家の柱です。
国家百年の計という言葉もあります。
国を支える教育の、公教育の部分ですから、この部分が揺らいでしまうのは非常に気になります。
おわりに
今回は東京都の公立高校入試のスピーキングテストについて取り上げました。
もちろん、制度そのものは直接的には私立学校には関係ありません。
しかし、その良し悪し次第では人の流れに影響が出てくる可能性があります。
また、新しい事業者はIELTSを運営しているブリティッシュ・カウンシルということで、私立学校の英語の求人にも関わってくるという観点から見ていきました。
今後も数年間に渡って注視していかなければいけない問題になりそうです。
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